ジアゼパム坐剤と解熱剤はどちらが先?体重別の使い方と熱性けいれん時の対応
熱性けいれんは生後6か月~5歳(特に1~2歳)に頻発します。
子どもの発熱時に、ジアゼパム坐剤と解熱剤の坐剤が両方処方されていると、
「どちらを先に使えばいいの?」
「続けて入れても大丈夫?」
と迷うことがあります。
結論からいうと、ジアゼパム坐剤を先に使用し、解熱剤の坐剤は30分以上あけて使用します。
ただし、使用する温度や投与量は子どもによって異なります。必ず処方時の医師・薬剤師の指示を優先してください。
なぜジアゼパム坐剤を先に使うの?
ジアゼパム坐剤とアセトアミノフェン坐剤では、薬を固めている「基剤」が異なります。
解熱剤の坐剤を先に入れたり、2つを同時に入れたりすると、ジアゼパムの吸収が遅れる可能性があります。
そのため、ジアゼパム坐剤を先に入れ、直腸から吸収されるまで30分以上あけてから解熱剤の坐剤を使用します。
なお、この30分ルールは、解熱剤も坐剤で使用する場合の話です。
内服の解熱剤については、基本的に同時併用で問題ありませんが、処方時の指示に従ってください。
それぞれの薬の役割
ジアゼパム坐剤
ジアゼパム坐剤は、発熱時に使用して熱性けいれんの再発を予防する薬です。熱を下げる作用はありません。
熱性けいれんを経験した子ども全員に使用する薬ではなく、過去にけいれんが長く続いた場合など、再発時のリスクを考えて処方されます。
アセトアミノフェン坐剤
アセトアミノフェンは、発熱によるつらさや痛みを和らげる薬です。
ただし、解熱剤を使用しても、熱性けいれんの再発を予防できるとは確認されていません。
けいれん予防ではなく、子どもの苦痛を和らげるために使用する薬と考えましょう。

急激に熱を下げるとけいれん起きやすいって聞いたことあるんやけれど…、実際はどうなん?



熱性けいれんが起きやすくなるという根拠はないよ。
急激に上がったときには起こることもあるけれど、
そこについても原因ははっきりとわかっていないんだ。
体重から計算する投与量
体重換算による計算上の目安は、次のとおりです。
| 体重 | ジアゼパム坐剤 0.4~0.5mg/kg | アセトアミノフェン 10~15mg/kg |
|---|---|---|
| 10kg | 4~5mg | 100~150mg |
| 12kg | 4.8~6mg | 120~180mg |
| 15kg | 6~7.5mg | 150~225mg |
| 20kg | 8~10mg | 200~300mg |
ジアゼパム坐剤には4mg・6mg・10mgなどの規格がありますが、計算結果と実際に使用する規格が完全に一致するとは限りません。
坐剤を自己判断で増減せず、処方された量を使用してください。
ジアゼパム坐剤を使うタイミング
熱性けいれんの予防では、けいれんが起こる前の発熱時にジアゼパム坐剤を使用します。
一般的には37.5℃が目安ですが、平熱や過去にけいれんを起こした体温によって指示が異なることがあります。
発熱が続いている場合は、医師の指示に従って、最初の投与から8時間後に2回目を使用します。自己判断で3回目以降を追加しないようにしましょう。
熱性けいれんはなぜ起こる?
熱性けいれんは、主に生後6か月から5歳ごろまでの子どもにみられます。
子どもの脳は熱に敏感です。風邪などによる発熱をきっかけに、脳の神経細胞が一時的に強く興奮することで、けいれんや意識消失が起こります。
熱性けいれんは「体温が何℃まで上がったか」だけで決まるものではなく、熱の上がり際に起こることが多いため、発熱に気づく前にけいれんが起こる場合もあります。
けいれんが起きたときの対応
けいれんが起きたら、まず安全を確保します。
- 顔と体を横向きに寝かせる
- 口の中に指やタオル、箸などを入れない
- けいれんが始まった時刻を確認する
- 手足の動きに左右差がないか観察する
- 可能であれば安全な場所から動画を撮る
顔色が悪い場合は直ちに、そうでなくても5分以上けいれんが続く場合は救急車を呼びます。
初めてのけいれん、けいれんを繰り返す、左右どちらかだけがけいれんする、発作後も意識が戻らない場合も、速やかに医療機関へ相談してください。
使用後の眠気にも注意
ジアゼパム坐剤を使用した後は、眠気、ふらつき、興奮などがみられることがあります。
一時的なことが多いものの、呼吸がおかしい、反応が極端に弱い、強い眠気が長く続くなど、普段と明らかに違う場合は医療機関へ相談してください。
熱性けいれんの既往がある子どもでは、抗ヒスタミン薬にも注意
発熱時には、鼻水などに対して抗ヒスタミン薬が処方されることがあります。
熱性けいれんを起こしたことがある子どもでは、眠気を起こしやすい鎮静性抗ヒスタミン薬に注意が必要です。
抗ヒスタミン薬が熱性けいれんを直接引き起こすとは証明されていませんが、けいれんが長く続いたり、短時間に繰り返したりする可能性が指摘されています。
注意したい薬の例には、次のようなものがあります。
- クロルフェニラミン(ポララミン)
- シプロヘプタジン(ペリアクチン)
- ケトチフェン(ザジテン)
ケトチフェンは第二世代抗ヒスタミン薬ですが、眠気が出やすいため注意が必要です。
処方されている薬を自己判断で中止する必要はありません。
発熱した場合は、現在使用している薬を医師・薬剤師へ伝え、市販のかぜ薬や鼻炎薬を自己判断で追加しないようにしましょう。
まとめ
- 坐剤同士では、ジアゼパム坐剤を先に使用する
- 解熱剤の坐剤は、30分以上あけて使用する
- ジアゼパム坐剤は熱性けいれんの予防薬
- 解熱剤はつらさを和らげる薬で、けいれん予防薬ではない
- 投与量と使用開始温度は、処方時の指示を優先する
- けいれんが5分以上続く場合は救急要請する
参考資料
- 日本小児神経学会「熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023」
- PMDA「ダイアップ坐剤4・6・10 添付文書」
- PMDA「アンヒバ坐剤小児用 添付文書」



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