ピボキシル基含有抗菌薬に要注意|低カルニチン血症・低血糖で死亡例も
「フロモックスって小児でカルニチンが減るんだよね。」
薬剤師なら一度は聞いたことがある話かもしれません。
しかし2026年、PMDAは死亡例を含む重篤な症例が報告されたことを受け、改めて注意喚起を行いました。
今回は、現場で押さえておきたいポイントだけを簡潔に整理します。
最初に結論
ピボキシル基を持つ抗菌薬は、カルニチンを尿中へ排泄させるため、低カルニチン血症を起こすことがあります。
その結果、
- 低血糖
- けいれん
- 意識障害
- 脳症
などを起こし、重症化することがあります。
特に乳幼児・小児では注意が必要です。
ピボキシル基を有する抗菌薬
現在国内で注意喚起されているのは次の4成分です。
| 一般名 | 主な商品名 |
|---|---|
| セフカペンピボキシル | フロモックス |
| セフジトレンピボキシル | メイアクトMS |
| セフテラムピボキシル | トミロン |
| テビペネムピボキシル | オラペネム(小児) |
なぜカルニチンが減るの?

原因は「ピボキシル基(ピバリン酸)」です。
薬が体内で分解されると、
ピバリン酸+カルニチン
が結合し、
ピバロイルカルニチン
となって尿へ排泄されます。
つまり、
カルニチンも一緒に体外へ捨ててしまう
ことになります。
なぜ小児で起こりやすい?
小児は
- カルニチンの貯蔵量が少ない
- 筋肉量が少ない
- 生合成能力も未熟
という特徴があります。
そのため短期間の投与でも低カルニチン血症になることがあります。
2026年のPMDA続報
PMDAでは2019年4月〜2026年5月までに、
低カルニチン血症・低血糖関連の副作用報告が23例集積。
この中には
死亡例や重篤な後遺症を伴う症例
も報告され、添付文書が改訂されました。
これを受け、
- 小児・乳幼児では特に慎重投与
- 保護者への低血糖症状の説明
- 異常時は速やかな受診
がより重要となっています。
薬剤師が服薬指導で伝えたいポイント
服薬指導では、
と一言添えるだけでも違います。
特に
- 元気がない
- ぐったりしている
- 顔色が悪い
- けいれん
- 意識がおかしい
などがあれば、服薬を続けず速やかに医療機関へ相談するよう説明しましょう。
なぜカルニチンが必要なの?
カルニチンは脂肪酸をミトコンドリアへ運び、エネルギーを作るために必要な物質です。
特に小児は空腹時に脂肪をエネルギー源として利用する割合が高いため、カルニチンが不足すると脂肪を十分に使えず、低血糖を起こしやすくなります。
まとめ
参考
- 厚生労働省医薬局医薬安全対策課. 使用上の注意の改訂について(令和8年6月30日付). ピボキシル基を有する小児用抗菌薬の添付文書改訂.
- PMDA(医薬品医療機器総合機構)「PMDAからの医薬品適正使用のお願い:ピボキシル基を有する抗菌薬投与による小児等の重篤な低カルニチン血症、重篤な低血糖について(続報)」
- 日本病院薬剤師会「ピボキシル基を有する小児用抗菌薬の投与に関連した重篤な低カルニチン血症、重篤な低血糖について(続報)」
- 日本医事新報社「ピボキシル基含有抗菌薬投与による二次性カルニチン欠乏症」
- PMDA(医薬品医療機器総合機構) 各製剤添付文書(フロモックス、メイアクトMS、トミロン、オラペネム)


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