タンパク質はどのくらいとればよい?
※この記事は薬剤師Yukiが記述したものです
タンパク質ってなぜ大切なの?
タンパク質は、「3大栄養素」のひとつ。
体の重量の約15〜20%はタンパク質でできているといわれており、
筋肉・皮膚・髪・爪・内臓など、体のほぼすべての組織に含まれています。
体の中でタンパク質が果たす主な働き

- 体をつくる 筋肉・皮膚・骨・臓器・髪・爪などの主要成分。
- 体の調節をする ホルモン(インスリンなど)・酵素(消化酵素など)・神経伝達物質の材料。
- 免疫機能を守る 抗体(γ-グロブリン)の材料。細菌やウイルスから体を守ります。
- 栄養素を運ぶ 酸素を運ぶヘモグロビン、鉄を運ぶトランスフェリンなど。
- エネルギー源になる 1gで4kcalを産生。(糖質が不足しているときの予備エネルギー源)。
意外かもしれませんが、
身体の筋肉以外にもホルモン等の原材料にもなっています!
タンパク質が不足すると、筋力低下・免疫力の低下・肌荒れ・疲れやすさなどが起こりやすくなります。
高齢者ではサルコペニア(筋肉量の低下)のリスクが高まるため、特に注意が必要です。
一日に必要なタンパク質の量は?
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、年齢・性別ごとに推奨量が定められています。
年齢・性別別の推奨摂取量(1日あたり)
| 年齢・対象 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 18〜29歳 | 65 g | 50 g |
| 30〜49歳 | 65 g | 50 g |
| 50〜64歳 | 65 g | 50 g |
| 65〜74歳(高齢者) | 60 g | 50 g |
| 75歳以上(高齢者) | 60 g | 50 g |
| 妊娠中期 | — | +5 g 追加 |
| 妊娠後期 | — | +25 g 追加 |
| 授乳期 | — | +20 g 追加 |
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
ただし活動量によって必要量は変わります!
自分の摂取目安量の計算方法
「推奨量」は平均的な体格の人向けの目安です。自分の体重に合わせた目安量は、以下の計算式で簡単に求められます。
標準体重(kg) × 1.0〜1.2 g=タンパク質の目安量
※例:体重60 kgの成人 → 60 × 1.0〜1.2 = 60〜72 g/日 ※ 標準体重の目安:身長(m)× 身長(m)× 22
今の筋肉量を維持したい方は、現在の体重×1.0gをかけた数値は摂らないと筋肉が落ちやすくなりますので、
維持したい方はその量を目安にするといいでしょう。
筋トレや運動量が多い方、または
を目安にする場合もあります。
- 一般成人:1.0〜1.2g/kg
- 高齢者:1.2〜1.5g/kg
- 筋力トレーニングをしている方:1.4〜2.0g/kg

年を重ねるにつれて推奨摂取量少なくなっているのに、
高齢者の摂取目安量はなんで増えているん?



推奨量はあくまで体の最低維持量になってくるからで、
足腰が弱るフレイルやサルコペニア予防のために、
目安量は1.2~1.5g/kgと設定されているんだ。
摂取のポイント
一度に大量に摂取しても吸収されなくなるわけではありません。ただし筋肉合成効率を考えると、
1食20〜40g程度を目安に分けて摂る方が効率的とされています。。そのため、1日の総量を時間に分けて摂ると良いでしょう。
- 一度に大量に摂るより、1食あたり20〜25 gを目安に3食均等に摂るのが効率的。
- ビタミンB6(カツオ・まぐろ・バナナなどに多い)と一緒に摂ると吸収・代謝がスムーズになります。
- 糖質と一緒に摂取すると、インスリンの働きで筋肉合成が促進されます。
- プロテイン補助食品は必要に応じて補う程度に。過剰摂取には注意が必要です。
3. 動物性タンパク質と植物性タンパク質
タンパク質には、動物性と植物性の2種類があります。それぞれの特徴を理解して、バランスよく組み合わせることが大切です。
| 比較項目 | 動物性タンパク質 | 植物性タンパク質 |
|---|---|---|
| 主な食品 | 肉・魚・卵・乳製品 | 大豆・豆腐・納豆・穀物・野菜 |
| 必須アミノ酸 バランス | ◎ 非常に良い すべて含む | △ やや不足しがち (大豆は比較的良好) |
| 消化・吸収率 | 約90% | 約80% |
| 脂質 | 多め(種類による) | 少なめ |
| 食物繊維 | 含まない | 豊富に含む |
| 特長・メリット | 筋肉合成に優れる 亜鉛・鉄分も豊富 | 低脂質・低カロリー コレステロールに影響しにくい |
| 注意点 | 脂質・カロリーに注意 (赤身肉は良い) | 組み合わせてアミノ酸を補う 植物性だけでは不足しがち |
動物性:植物性 = 1:1 程度を目安にすると、アミノ酸バランスが整いやすくなります。
例えば、朝は卵+納豆、昼は魚、夜は豆腐と肉を少し…という組み合わせが理想的です。
4. 食品に含まれるタンパク質の量
「どの食品にどのくらい含まれているの?」を知っておくと、毎日の食事で目標量を達成しやすくなります。
動物性食品
| 食品名 | 100gあたりの量 | 1食の目安 | 1食で摂れる量 |
|---|---|---|---|
| 鶏ささみ | 23.9 g | 1枚(約40 g) | 約10 g |
| 鶏むね肉(皮つき) | 21.3 g | 1/2枚(約150 g) | 約32 g |
| 豚ロース(赤身) | 22.7 g | 1枚(約100 g) | 約23 g |
| 牛もも肉(赤身) | 19.3 g | 1枚(約100 g) | 約19 g |
| かつお(春) | 25.8 g | 1切れ(約100 g) | 約26 g |
| ぶり | 21.4 g | 1切れ(約80 g) | 約17 g |
| さば | 23.0 g | 1切れ(約100 g) | 約23 g |
| 鶏卵(全卵) | 12.2 g | 1個(約60 g) | 約7 g |
| プロセスチーズ | 22.7 g | スライス1枚(約18 g) | 約4 g |
| 普通牛乳 | 3.3 g | コップ1杯(200 g) | 約7 g |
出典:文部科学省「食品成分データベース」
植物性食品
| 食品名 | 100gあたりの量 | 1食の目安 | 1食で摂れる量 |
|---|---|---|---|
| 油揚げ | 23.4 g | 1枚(約30 g) | 約7 g |
| 挽きわり納豆 | 16.6 g | 1パック(約40 g) | 約7 g |
| 木綿豆腐 | 7.0 g | 1/3丁(約100 g) | 約7 g |
| 絹ごし豆腐 | 5.3 g | 1/3丁(約100 g) | 約5 g |
| えだまめ(ゆで) | 11.5 g | 10さや(約50 g) | 約6 g |
| 豆乳 | 3.6 g | コップ1杯(200 g) | 約7 g |
| そら豆(生) | 10.9 g | 5粒(約30 g) | 約3 g |
| ロールパン | 10.1 g | 1個(約30 g) | 約3 g |
| そば(ゆで) | 4.8 g | 1玉(約170 g) | 約8 g |
出典:文部科学省「食品成分データベース」
1食あたりの目安:20〜25 gを目指しましょう
例)鶏むね肉150 g(約32 g)+豆腐100 g(約7 g)= 約39 g(2食分には十分)
卵1個(7 g)+納豆1パック(7 g)+牛乳1杯(7 g)= 約21 g(朝食として十分)


意外かも? 主食にもタンパク質が含まれています
実はごはん・パン・麺類にもタンパク質は含まれています。
ごはん茶碗1杯(150g)には約3.8gのタンパク質が含まれており、3食食べれば約11gを自然に摂取している計算になります。
主食1食あたりのタンパク質量
| 主食 | 1食の目安量 | タンパク質 |
|---|---|---|
| ごはん(白米) | 茶碗1杯 150g | 約3.8g |
| 食パン | 6枚切り1枚 60g | 約5.3g |
| うどん(ゆで) | 1袋 200g | 約5.2g |
| そば(ゆで) | 1袋 160g | 約7.7g |
| 中華麺(ゆで) | 1玉 200g | 約9.8g |
| スパゲッティ(ゆで) | 1束 250g | 約14.5g |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より)
ゆでた麺類の中ではスパゲッティ・マカロニが最もタンパク質量が多く、そばや中華麺も比較的多めです。
一方で、ごはんのアミノ酸スコアは93、食パンは51と、肉・魚・卵・大豆(スコア100)と比べると必須アミノ酸のバランスは劣ります。
主食のタンパク質だけに頼らず、おかずと組み合わせて摂ることが大切です。
ただ、こうした「気づかず摂れているタンパク質」を意識するだけで、1日の目標量への壁はぐっと低くなります。
腎臓の機能が低下しているとき
腎臓の機能が低下している方(慢性腎臓病:CKD)の場合、タンパク質の摂取には特別な注意が必要です。
なぜタンパク質を制限するの?
タンパク質が体内で代謝されると、老廃物(窒素化合物・尿素など)が発生します。
健康な腎臓はこの老廃物をろ過して尿として排泄しますが、腎機能が低下していると処理しきれず体内に蓄積。これが腎臓へのさらなる負担・病状の悪化につながります。
CKDステージ別のタンパク質摂取の目安
| CKDステージ(GFR) | タンパク質の目安 | 概要 |
|---|---|---|
| G1〜G2 (eGFR ≥ 60) | 通常量 (過剰摂取は避ける) | 腎機能はほぼ正常〜軽度低下。過度な制限は不要だが、過剰摂取に注意。 |
| G3a〜G3b (eGFR 30〜59) | 0.8〜1.0 g/kg 標準体重/日 | 中等度の低下。医師・管理栄養士と相談しながら調整を始める段階。 |
| G4〜G5 (eGFR < 30) | 0.6〜0.8 g/kg 標準体重/日 | 高度〜末期の低下。積極的な制限が推奨。透析中の方は別途指示に従う。 |
出典:日本腎臓学会「CKD診療ガイドライン2024」/厚生労働省
腎機能低下がある方への注意点
- 自己判断でタンパク質を極端に増やしたり減らしたりしないこと。
- 食塩制限(6 g未満/日が目安)。加工肉・練り物などには注意。
- タンパク質を減らす分、エネルギー(炭水化物・脂質)をしっかり摂ること(筋肉分解を防ぐため)
- 植物性タンパク質は、リン・カリウムが多い食品もある。
- 透析中の方はタンパク質の必要量が上がる場合があります(1.0〜1.2 g/kg/日程度)。
- 腎機能が低下している方は、「いい食品だから多く食べよう」という考えが逆効果になることがあります。
タンパク質が足りない・多すぎるときのサイン
毎日の食事でタンパク質が適切に摂れているか、体のサインからチェックしてみましょう。
| 不足しているとき | 過剰摂取のとき | |
|---|---|---|
| 体・見た目 | 筋肉量の減少・むくみ 肌荒れ・髪が抜けやすい | 体重増加(脂質カロリー分) ニキビ・肌荒れ(腸内環境の悪化) |
| 体力・免疫 | 疲れやすい・風邪をひきやすい 傷の治りが遅い | 腎臓・肝臓への負担増加 腸内の悪玉菌が増えやすい |
| その他 | 爪が割れやすい・貧血気味 集中力の低下 | 尿酸値の上昇(痛風リスク) カルシウム排泄増加(骨粗しょう症リスク) |
よくある質問(FAQ)
Q. プロテインは飲んだ方がいい?
必ずしも飲む必要はありません。
タンパク質は肉・魚・卵・大豆製品などの食事から十分に摂取できます。
ただし、
- 食が細い
- 朝食をあまり食べない
- 運動量が多い
- 高齢で食事量が少ない
といった場合は、不足分を補う目的でプロテインを活用するのも有効です。
プロテインはあくまで「栄養補助食品」です。まずは毎日の食事からタンパク質を摂ることを基本にしましょう。


Q. 卵は1日何個まで食べてもいい?
健康な方であれば、一般的に1〜2個程度であれば問題ないと考えられています。
近年では、
「卵を食べるとコレステロールが上がる」
という考え方は以前ほど重視されなくなっています。
卵は良質なタンパク質をはじめ、
- ビタミンB群
- 鉄
- 亜鉛
なども含む優秀な食品です。
ただし、脂質異常症や糖尿病などで食事制限を受けている場合は、主治医や管理栄養士に相談しましょう。
Q. タンパク質の摂りすぎは危険?
極端な摂りすぎはおすすめできません。
過剰摂取が続くと、
- 腎臓への負担増加
- カロリー過多による体重増加
- 腸内環境の悪化
- 尿酸値上昇のリスク
などが指摘されています。
特にプロテインを大量に飲みながら高タンパク食を続ける場合は注意が必要です。
健康な成人であれば、
を目安に、バランスの良い食事を心がけましょう。
まとめ
毎日の食事の中でタンパク質を意識するだけで、体の調子がぐっと変わることがあります。ポイントをおさらいしましょう。
▶ 推奨量の目安 成人男性65 g・女性50 g/日。自分の体重×1.0〜1.2 gが計算の基本。
▶ 1食の目安 1食あたり約20〜25 g。3食均等に分けて摂取するのが効果的。
▶ 食品の選び方 動物性・植物性を組み合わせてバランスよく。鶏むね肉・魚・卵・豆腐・納豆が代表的な食品。
▶ 腎機能が低い方 CKDのステージに応じて0.6〜1.0 g/kgに制限。必ず医師・栄養士の指示を仰ぐ。
▶ 過剰摂取に注意 特に腎臓・肝臓に負担がかかるため、プロテインサプリなどの使いすぎに注意。
食事の中でタンパク質を意識することは、今日からすぐに始められる健康投資です。
体の状態や年齢・目的によって最適な量は変わりますので、気になることがあればかかりつけの管理栄養士・薬剤師にご相談ください
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」/文部科学省「食品成分データベース」/日本腎臓学会「CKD診療ガイドライン2024」




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