抗不整脈薬の基本と使い分け
現場でまず見るべきQRS・QT・徐脈・腎機能・心機能
抗不整脈薬は、名前も分類も多く、最初からすべて覚えようとするとかなり複雑です。
でも、薬剤師が処方を見たときにまず確認したいポイントは、意外とシンプルです。
まず次の5つを見ると理解しやすくなります。
- QRS幅が延長しやすい薬か
- QT間隔が延長しやすい薬か
- 徐脈・房室ブロックを起こしやすい薬か
- 腎機能低下で蓄積しやすい薬か
- 心機能低下・器質的心疾患で注意が必要な薬か
抗不整脈薬は「脈を整える薬」ですが、患者背景によっては不整脈を悪化させることもあります。
そのため、薬効だけでなく、
- どの患者に使いにくいか
- 心電図のどこに影響するか
- 腎機能・心機能で注意が必要か
をセットで見ることが大切です。

抗不整脈薬って、名前も分類も多くて最初から迷子になりそうなんよね。



まずは「Na・β・K・Caのどこを抑える薬か」と、
「QRSやQTが伸びる薬か」を見ると整理しやすいよ。
まず結論:抗不整脈薬はこの5つを見る
抗不整脈薬を見たときに、最初に確認したいのは次の5つです。
| 見るポイント | 何を意味するか | 注意したい薬 |
|---|---|---|
| QRS幅 | 心室内の興奮伝導が遅れていないか | I群、とくにIc群 |
| QT間隔 | 再分極が遅れていないか | Ia群、III群 |
| 徐脈・PR延長 | 洞結節・房室結節が抑えられていないか | β遮断薬、非DHP系Ca拮抗薬、ジゴキシンなど |
| 腎機能 | 薬が蓄積しやすくないか | ピルシカイニド、シベンゾリン、ソタロールなど |
| 心機能・器質的心疾患 | 心不全悪化や催不整脈リスクがないか | Ic群、ジソピラミド、非DHP系Ca拮抗薬など |
抗不整脈薬は、分類を知ることも大切ですが、現場ではそれ以上に、
この患者さんに使って大丈夫か
を確認することが重要です。
そのため、この記事では分類を説明しながらも、最終的には
「QRSは?」
「QTは?」
「徐脈は?」
「腎機能は?」
「心機能は?」
という確認につながるように整理していきます。
Vaughan Williams分類は「全体像をつかむ地図」
抗不整脈薬を整理する基本になるのが、Vaughan Williams分類です。
Vaughan Williams分類では、抗不整脈薬を主な作用機序によってI〜IV群に分けます。




正直これだけではパッと理解しにくい部分もあるかと思います。
一番大事なところですので、この役割を覚えておおきましょう
主役は三人
Na+:スイッチ役(脱分極)→ 活動電位を一気に立ち上げる。
K+: 調整役→行き過ぎた電位を戻してあげたり、収縮した心臓を戻してあげる。(膜電位を安定させる)
Ca2+:力仕事役→心筋収縮につながる。
流れとしては
心筋の活動電位遷移
- Na+が一気に流入して、スイッチを押す(脱分極:電位-90→+20)【0相:急速脱分極】
- Na⁺チャネルが不活化し、一過性にK⁺が外へ流出して、溜まった「+イオン」を調節する。行き過ぎた電位を0Vに戻す。【1相:初期再分極】
- Ca+が流入して、心臓の収縮が起こる。【2相:プラトー相】
- K+が外に出て、膜電位を元の静止状態へ戻す。収縮した心臓が戻る。(再分極)【3相:再分極】
- K⁺透過性が高い状態を中心に、膜電位が安定して保たれる。Na⁺/K⁺ポンプなどはイオン濃度勾配の維持に関与する。【4相:静止膜電位】
0相はNa⁺、2相はCa²⁺、3相はK⁺、4相は静止膜電位
APD = Action Potential Duration(活動電位持続時間)
心筋細胞が1回興奮してから元の静止状態に戻るまでの、活動電位の長さ(時間)を指します。
心電図でいうとQT間隔にだいたい対応するイメージです。
これを覚えると、抗不整脈薬の作用点を整理しやすくなります。
大まかな薬の分類
上記を踏まえたうえで薬効分類を見ましょう
| 群 | 主な作用 | 現場での見方 | 代表薬 |
| I群(Ia、Ib、Ic) | Naチャネル遮断 | QRS幅延長に注意 | ジソピラミド、シベンゾリン、リドカイン、メキシレチン、ピルシカイニド、フレカイニドなど |
| II群 | β受容体遮断 | 徐脈、PR延長、喘息、心不全に注意 | ビソプロロール、カルベジロール、ランジオロールなど |
| III群 | Kチャネル遮断 | QT延長、TdPに注意 | アミオダロン、ソタロール、ニフェカラント |
| IV群 | 非DHP系Caチャネル遮断 | 徐脈、PR延長、心不全に注意 | ベラパミル、ジルチアゼム |



学生の頃は薬の分類を
Na、β、K、Caで「鍋食うか?」って覚えてました(笑)
I群:Naチャネル遮断薬
I群はNaチャネルを遮断し、心筋細胞の電気的興奮の立ち上がりを抑えます。
そのため、興奮伝導速度が低下し、QRS幅が延長しやすくなります。Ia・Ib・Icの違いは、活動電位持続時間(APD)への影響で整理します。



I群の中でもIa、Ib、Icって分かれるのがごっちゃになるんよ!



最後にまとめるけれど、APDに注目するところからだね


| 分類 | 一般名(商品名) | APD | 警戒すること |
|---|---|---|---|
| Ia群 (Na⁺+K⁺遮断) | キニジン(キニジン®) | 延長 | QT延長・催不整脈。 国内では使用頻度低い |
| プロカインアミド(アミサリン®) | 長期でSLE様症状、腎機能低下で蓄積(代謝物NAPAにIII群様作用) | ||
| ジソピラミド(リスモダン®) | 抗コリン作用(尿閉・緑内障・口渇)と陰性変力作用※ 上室性・心室性不整脈で使われる。 | ||
| シベンゾリン(シベノール®) | 低血糖(高齢・腎機能低下で要注意)、腎排泄で蓄積 | ||
| ピルメノール(ピメノール®) | 抗コリン作用、QT延長 | ||
| Ib群 (Na⁺遮断+K開放促進) | リドカイン(キシロカイン®) | 短縮 | 中枢神経症状(傾眠・しびれ・痙攣)、初回通過効果大で静注が中心 |
| メキシレチン(メキシチール®) | 消化器症状・振戦・めまい、肝代謝 | ||
| アプリンジン(アスペノン®) | 肝・腎で代謝排泄、無顆粒球症 | ||
| Ic群 (Na⁺遮断(強力)) | フレカイニド(タンボコール®) | ほぼ不変 | 器質的心疾患・心機能低下で禁忌レベル、QRS幅 |
| プロパフェノン(プロノン®) | β遮断作用あり→気管支喘息・徐脈、CYP2D6相互作用 | ||
| ピルシカイニド(サンリズム®) | 腎排泄型→腎機能低下で蓄積、 QRS幅・徐脈。高度腎障害は原則避ける |
※陰性編力作用:心臓の筋肉(心筋)の収縮力を弱め、心拍出量を低下させる働き
- Ia群:Naチャネル遮断+Kチャネル遮断作用→QRS幅とQT間隔の両方に注意する。
- Ib群:心室性不整脈で使うことが多い。活動電位持続時間を短縮する方向に働きます。上室性不整脈には通常あまり使いません。
- Ic群:強力なNa遮断。QRS幅を延長させます。発作性心房細動などで見かける一方、器質的心疾患や心機能低下がある患者では催不整脈・心機能悪化の注意が重要です。



Icはサンリズムとかタンボコールやね。効きそうだけど怖さもある薬?



その通り。心機能低下や器質的心疾患がある患者さんでは、
催不整脈や心機能悪化に注意が必要だよ。
Ic群は心機能と器質的心疾患を必ず確認
II群:β遮断薬


作用
- 洞結節・房室結節の興奮抑制
効果
- 洞結節の自動能低下:機能低下により脈が異常に遅くなる徐脈性不整脈を引き起こすこと
- AV結節伝導抑制:AV結節は、右心房と右心室の間にある筋肉の小さな塊。「電気信号の中継地点」として機能し、心房から送られてきた信号をわずかに遅らせることで、心房と心室がタイミングよく順番に収縮するための重要な役割をもつ
- PR延長・徐脈:PR=心房の収縮間隔
心房細動のレートコントロールや交感神経亢進が関与する不整脈に重要です。
慢性心不全(HFrEF)では予後改善目的で用いられる薬剤もありますが、急性増悪時や循環動態不安定時の開始・増量は慎重です。
| 分類 | 一般名(商品名) | APD | 注意すること |
|---|---|---|---|
| II群 β受容体遮断 | プロプラノロール(インデラル®) | 影響少 | 気管支喘息、徐脈、心不全増悪、急な中止でリバウンド |
| ビソプロロール(メインテート®) | 影響少 | 徐脈・心不全(用量調整)、β1選択性だが喘息で要注意 | |
| カルベジロール(アーチスト®) | 影響少 | α遮断も持つ→低血圧、徐脈、心不全導入は少量から。HFrEFで重要。 | |
| ランジオロール(オノアクト®) | 影響少 | 超短時間型・静注、術中/急性期の頻脈用、低血圧 |
直接チャネルを触らないのでQRS/QT自体は大きく動きにくいのが特徴です。
ここで大事なのは、
「心不全だからβ遮断薬は全部だめ」ではない
ということです。
III群(Kチャネル遮断薬)
| 分類 | 一般名(商品名) | APD | 注意すること |
|---|---|---|---|
| III群 K⁺遮断 | アミオダロン(アンカロン®) | 著明に延長 | 間質性肺炎・甲状腺機能異常・肝障害、QT延長。多数の相互作用 |
| ソタロール(ソタコール®) | 延長 | β遮断も併せ持つ→徐脈、 腎排泄でTdP(QT延長)リスク | |
| ニフェカラント(シンビット®) | 延長 | 静注のみ、QT延長・TdP、急性期の難治性心室性不整脈用 |
III群はAPDを延長させる=QTが延びるのが本質なので、催不整脈(TdP)が共通の最大警戒点です。
アミオダロンは効果が強い反面、肺・甲状腺・肝など心臓外の臓器毒性に注意。
アミオダロンは「何にでも使える薬」ではない
心機能低下例・器質的心疾患例で選択肢になりやすい一方、致死的な肺障害、甲状腺機能異常、肝障害など重い副作用があります
アミオダロン長期使用時の確認ポイント
| 確認項目 | 確認内容 |
| 肺毒性 | 咳、息切れ、発熱、SpO2低下。胸部X線・CTなどの定期確認。 |
| 甲状腺 | TSH、FT3、FT4。ヨウ素含有薬であり、甲状腺機能亢進・低下の両方に注意。 |
| 肝機能 | AST、ALT、γ-GTPなど。 |
| 眼 | 角膜色素沈着、視覚症状。必要に応じて眼科受診。 |
| 皮膚 | 光線過敏症。日光曝露を避ける生活指導。 |
| 相互作用 | ワルファリン、ジゴキシン、スタチン、QT延長薬などを確認。 |



心機能が落ちている人ではアミオダロンが選択肢になりやすいんよね。



「使える場面があるけれど、管理が重い薬」だね。肺、甲状腺、肝臓、眼、皮膚、相互作用まで長期的に見る必要があるよ。
IV群(Caチャネル遮断薬・非DHP系)
IV群として扱うのは、
ベラパミルやジルチアゼムなどの非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬です。
アムロジピンなどのDHP系Ca拮抗薬は末梢血管拡張が主作用であり、抗不整脈薬としては通常扱いません。
| 分類 | 一般名(商品名) | APD | 注意すること |
|---|---|---|---|
| IV群 Ca²⁺遮断(非DHP系) | ベラパミル(ワソラン®) | 影響少 | 徐脈・房室ブロック、心不全増悪、β遮断薬併用で高度徐脈、CYP3A4相互作用 |
| ジルチアゼム(ヘルベッサー®) | 影響少 ベラパミルより若干血管作用高 | 徐脈・房室ブロック、心機能低下例で注意 |
作用
- 房室結節(Ca依存性の組織)の伝導を抑える
効果
- PR延長・徐脈:PR=心房の収縮間隔
注意が必要な項目
WPW症候群+心房細動にはAV結節遮断薬(II群・IV群・ジゴキシン)を避ける
房室結節をブロックすると副伝導路に興奮が集中して心室細動を誘発するリスクがある
PSVT全般ではなく、「WPW+AF」「wide QRS頻拍で機序不明」の場面で特に注意します。



WPWでAFがあると、なんでワソランとかが危ないん?



AV結節を抑える薬は、本来の通り道が抑えられて、副伝導路を通る電気が相対的に目立つことがあるんだ。
Sicilian Gambit(シシリアンガンビット)


これをすべて覚えるのは大変です。
普段は、Vaughan Williams分類で覚えておく。細かく調べるときにSicilian Gambitの表を使う、という形がいいかと思います。
参考資料として載せておきます
疾患別・状況別の薬剤選択
ここからは少し細かくなるので、より詳しく知りたい人は読んでください。
心房細動(AF)
AFの薬物治療は、洞調律への復帰・維持を目指す「リズムコントロール」と、心拍数を落として症状や心負荷を抑える「レートコントロール」に分けて考えます。
| 目的 | 心機能正常・器質的心疾患なし | 心機能低下・器質的心疾患あり | 薬剤師の見方 |
| リズムコントロール | ピルシカイニド、フレカイニド、プロパフェノン、シベンゾリンなどが選択肢。 | アミオダロンが選択肢になりやすいが、適応・副作用管理に注意。 | Ic群は心機能・器質的心疾患の確認が必須。 |
| レートコントロール | β遮断薬または非DHP系Ca拮抗薬。 | β遮断薬、ジゴキシン、急性期ではランジオロールなど。非DHP系Ca拮抗薬は避ける/慎重。 | 血圧・心拍数・心不全症状・喘息を確認。 |
| 血行動態不安定 | 薬物より電気的除細動を検討。 | 同左。 | 意識障害、ショック、急性心不全、虚血症状があれば緊急対応。 |
発作性上室頻拍(PSVT)
PSVTの急性期では、迷走神経刺激やATP、ベラパミル、β遮断薬などが選択肢になります。ただし、WPW症候群にAFを合併している場合やwide QRS頻拍で機序がはっきりしない場合は、AV結節遮断薬の使用に注意します。
| 場面 | 薬剤選択の考え方 | 注意点 |
| 通常のPSVT | ATP、ベラパミル、β遮断薬など。 | 血圧、徐脈、房室ブロック、心機能を確認。 |
| WPW+AFが疑われる | AV結節遮断薬は避け、専門医管理下でIa/Ic群や電気的治療を検討。 | 不規則なwide QRS頻拍では特に注意。 |
心室性不整脈(VT/VF)
VFや無脈性VTでは、薬剤よりも除細動・CPRが優先です。薬剤はACLSや施設プロトコルに沿って、補助的に使用されます。
| 状況 | 薬剤選択の考え方 | 薬剤師の見方 |
| VF/無脈性VT | 除細動・CPRを優先。アミオダロンなどをプロトコルに従って使用。 | 薬剤準備、投与量、投与経路、再投与タイミングを確認。 |
| 持続性VT(血行動態安定) | アミオダロン、ニフェカラントなどをモニタリング下で使用。 | QT延長、電解質、血圧、心機能を確認。 |
| 心室期外収縮(症状あり) | β遮断薬、メキシレチンなどが選択肢。 | 基礎心疾患がある場合、Ic群の安易な使用を避ける。 |
腎機能・心機能で見る処方監査ポイント
腎機能低下で注意したい薬剤
抗不整脈薬は治療域が狭く、腎機能低下で血中濃度が上がるとQRS延長、QT延長、徐脈、催不整脈につながります。eGFRだけでなく、体格や年齢を踏まえてCrClを確認する場面もあります。
| 薬剤 | 排泄・代謝の見方 | 腎機能低下時の考え方 |
| ピルシカイニド | 腎排泄型。未変化体尿中排泄が多い。 | 減量・投与間隔調整。高度低下では原則避ける/専門医管理下で慎重投与。QRS幅を確認。 |
| シベンゾリン | 腎排泄の影響が大きい。 | 蓄積と低血糖に注意。透析患者では禁忌扱いとなるため添付文書を確認。 |
| ジソピラミド | 腎機能の影響を受ける。 | 減量・副作用確認。抗コリン作用、低血糖、QT延長に注意。 |
| ソタロール | 腎排泄型。 | 重篤な腎障害(CrCl<10 mL/min)は禁忌。腎機能低下では少量開始・心電図管理。 |
| アミオダロン | 主に肝代謝。半減期が長い。 | 腎機能だけでなく、肺・甲状腺・肝・眼・相互作用を継続確認。 |
| メキシレチン/リドカイン | 主に肝代謝。 | 腎機能のみで安心せず、肝機能・中枢神経症状を確認。 |
心機能低下で避けたい薬剤
不整脈の患者さんで心機能低下例がみられる事例は少なくありません。陰性変力作用を持つ薬剤や強力なNaチャネル遮断薬で状態を悪化させる可能性があります。
慢性HFrEFではβ遮断薬が重要ですが、急性増悪期の新規開始・増量は慎重です。
| 分類 | 心機能低下時の考え方 | 理由 |
| Ic群(ピルシカイニド、フレカイニド、プロパフェノン) | 原則避ける。 | 強力なNa遮断、陰性変力作用、催不整脈リスク。 |
| Ia群の一部(ジソピラミドなど) | 慎重または避ける。 | 陰性変力作用、QT延長、抗コリン作用。 |
| 非DHP系Ca拮抗薬 | HFrEFでは避ける/慎重。 | 陰性変力作用により心不全悪化の可能性。 |
| ソタロール | 重度心不全では禁忌。慎重。 | β遮断作用、QT延長、TdPリスク。 |
| アミオダロン | 選択肢になりやすいが、専門医管理・副作用管理が必須。 | 心機能低下例でも使われる場面がある一方、肺・甲状腺・肝毒性が問題。 |
| β遮断薬 | 慢性HFrEFでは重要。急性増悪では慎重。 | 予後改善効果がある薬剤があるが、導入・増量タイミングが重要。 |
服薬指導・モニタリングポイント
患者さんに伝えたい共通ポイント
- 動悸、めまい、ふらつき、失神しそうな感じ、脈が極端に速い・遅い感じがあれば早めに相談する。
- 自己判断で中止しない。急な中断で不整脈や症状が悪化することがある。
- 受診を欠かさない。
- グレープフルーツジュースはベラパミルなど一部薬剤の血中濃度に影響する可能性があるため、薬剤ごとに確認する。
とくに注意したい相互作用
| 薬剤 | 相互作用薬・要因 | 内容・リスク |
| アミオダロン | ワルファリン | PT-INR上昇。ワルファリン減量やINR確認が必要になることがある。 |
| アミオダロン | ジゴキシン | P-gp阻害によりジゴキシン中毒リスク上昇。 |
| アミオダロン | シンバスタチン等 | CYP3A4阻害により横紋筋融解リスク上昇。 |
| ソタロール/ニフェカラント/Ia群 | QT延長薬、低K血症、低Mg血症 | TdPリスク上昇。電解質補正と心電図確認。 |
| ベラパミル/ジルチアゼム | β遮断薬、ジゴキシン | 徐脈、房室ブロック、心不全悪化に注意。 |
| シベンゾリン | 糖尿病治療薬 | 低血糖リスク。冷汗・ふらつき・意識障害などに注意。 |
| ジソピラミド | 抗コリン薬 | 口渇、便秘、尿閉、認知機能への影響に注意。 |
モニタリング早見表
| 薬剤 | 心電図 | 採血・確認項目 | 頻度の目安 |
| ピルシカイニド | QRS幅、PR間隔、徐脈 | Cr/eGFRまたはCrCl、電解質 | 開始・増量時、腎機能変化時、定期 |
| アミオダロン | QT、徐脈、伝導障害 | TSH/FT3/FT4、肝機能、胸部画像、眼症状 | 3〜6か月ごとを目安に施設基準で |
| ソタロール | QT、心拍数、TdP | Cr/eGFRまたはCrCl、K、Mg | 開始・増量時、1〜3か月ごと |
| シベンゾリン/ジソピラミド | QRS、QT | 腎機能、血糖、電解質 | 開始・増量時、1〜3か月ごと |
| ベラパミル/ジルチアゼム | 心拍数、PR間隔 | 血圧、肝機能、便秘症状 | 症状に応じて定期 |
| β遮断薬 | 心拍数、徐脈 | 血圧、血糖、喘鳴・息切れ | 開始・増量時、定期 |



結局、薬局で処方を見たときは何から確認したらええん?



まず薬剤の分類を見て、次に心機能・腎機能・心電図への影響を確認する。特にQRS延長、QT延長、徐脈、電解質異常は見逃したくないね。
まとめ:まず押さえるポイント
- I群はNaチャネル遮断薬。QRS幅延長と心機能低下・器質的心疾患の有無を確認する。
- Ia群・III群はQT延長とTdPに注意。K低下・Mg低下・徐脈・併用薬でリスクが上がる。
- サンリズムは腎排泄型。腎機能低下では蓄積しやすく、QRS幅・投与量・投与間隔を確認する。
- アミオダロンは低心機能・器質的心疾患例で選択肢になりやすいが、副作用管理が必須。
- ソタロールは国内では主に生命に危険のあるVT/VFの薬。腎機能とQT延長に特に注意する。
- IV群は非DHP系Ca拮抗薬。AV結節を抑える薬として理解し、HFrEFやWPW+AFでは注意する。
- VF/無脈性VTでは薬剤より除細動・CPRが優先。AFの治療と混同しない。
参考資料
- 日本循環器学会 / 日本不整脈心電学会:2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン
- 各薬剤の最新電子添文
※本記事は薬剤師向けの学習・確認用です。実際の処方監査・投与可否判断では、患者背景、検査値、心電図、添付文書、最新ガイドライン、医師の治療方針を確認してください。





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