薬と食べ物は何時間あければ大丈夫?

薬と食べ物は何時間あければ大丈夫?

「この薬を飲んでいるときは牛乳を避けてください」

「グレープフルーツは控えてください」

薬を渡すときにお話ししていませんか?

患者さんが実際に気になるのは、

「じゃあ、何時間あければ食べてもいいの?」

というところではないかと思う時があります。

実は薬と食べ物の相互作用には、

  • 30分〜数時間あければよいもの
  • 1日あけても影響が残るもの
  • 何時間あけても避けた方がよいもの

があります。

代表的な組み合わせについて、「結局どれくらいあければいいの?」という視点から解説します。

目次

薬と食べ物は何時間あける?

薬・食べ物目安ポイント
ワーファリン+納豆間隔をあけてもNG影響が数日続く
グレープフルーツ+対象薬24時間でも不十分なことがあるCYP3A4の回復に2〜3日かかることも
酸化マグネシウム+大量の牛乳時間では解決しない継続的な摂取量が問題
アレンドロン酸など+食事・牛乳30分以上吸収が大きく低下
レボチロキシン+朝食・コーヒー30〜60分以上食事で吸収が低下
レボチロキシン+Ca・鉄剤4時間以上吸収を妨げる
シプロフロキサシン+Ca・鉄・Mg薬の2時間前/6時間後キレートを作って吸収低下
テトラサイクリン系+Ca1〜3時間以上カルシウムとキレート形成

グレープフルーツも意外と長いんやね・・・。

何時間か開ければ大丈夫と思っている患者さんも多いから注意が必要だね。

① ワーファリンと納豆|何時間あけてもダメ

「朝ワーファリンを飲んで、夜なら納豆を食べてもいい?」

これは基本的におすすめできません。

ワルファリンは、ビタミンKの働きを妨げることで血液を固まりにくくします。

さらに納豆菌による影響もあるため、単純に「同じ時間に食べなければ大丈夫」という問題ではありません。

PMDAも、

納豆の影響は数日間続くため、間隔をあけても摂取できない

としています。

クロレラや青汁についても、ビタミンKを多く含むため注意が必要です。

ただし、ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜をすべて禁止するという意味ではありません。

問題になるのは、ビタミンKの多い食品を大量に食べたり、摂取量が急激に変わったりすることです。

② グレープフルーツ|数時間あけるだけでは不十分

代表的な相互作用の食べ物です。

「薬を飲む時間とずらせばいい」と思われやすい食べ物です。

グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類は、小腸に存在する薬物代謝酵素CYP3A4に影響します。

その結果、一部の薬が通常より分解されにくくなり、血中濃度が高くなることがあります。

実際、一部のスタチンなどでは、添付文書上もグレープフルーツジュースを避けるよう記載されています。

「30時間あければ大丈夫」は本当?

ここは少し注意が必要です。

薬物動態研究では、24時間後にも相互作用が残ることが示されており、CYP3A4の働きが元に戻るまでには、おおむね2〜3日程度かかると考えられています。

→ 相互作用が問題になる薬では、数時間ずらすのではなくグレープフルーツ自体を避けるのが基本。

24時間あけても影響する可能性があるため、「○時間あければ安全」と一律には決められません。

③ 酸化マグネシウムと牛乳|「大量の牛乳」ってどのくらい?

酸化マグネシウムの添付文書を見ると、

「大量の牛乳、カルシウム製剤」

との併用に注意するよう記載されています。

これはmilk-alkali syndrome(ミルク・アルカリ症候群)と呼ばれる、

  • 高カルシウム血症
  • 代謝性アルカローシス
  • 腎機能障害

などを起こす可能性があるためです。

では、

「大量の牛乳」って結局何mLなのでしょうか?

実は明確な基準はない

ここが少し困るところで、添付文書には

「○mL以上」

という具体的な量は書かれていません。

牛乳には一般的に100mLあたり約110mg程度のカルシウムが含まれているため、

牛乳カルシウムの目安
200mL(コップ1杯)約220mg
500mL約550mg
1L約1,100mg
2L約2,200mg

程度になります。

「大量」を実生活でイメージするのであれば、毎日500mL〜1L以上飲むような習慣がある人は一度確認しておきたい量と考えると分かりやすいでしょう。

特に1L前後以上を毎日飲む人では、酸化マグネシウムを服用していることを医師・薬剤師に伝えておくのがおすすめです。

ただし、

「500mL以上なら危険」「1L未満なら安全」という境界があるわけではありません。

コップ1杯でも発症した報告がある?

実は興味深い症例報告があります。

酸化マグネシウム2g/日に加えて、

  • 牛乳:200mL/日
  • アイスクリーム:145g/日

程度の摂取でもmilk-alkali syndromeを発症した症例が報告されています。

ただし、この患者では強い脱水などのリスク因子が重なっていました。

そのため、

「牛乳200mLと酸化マグネシウムを飲むと危険」

という意味ではありません。

結局、何時間あける?

→ 時間をあけることで解決する相互作用ではありません。

問題になるのは、一時的に胃の中で薬と牛乳が混ざることではなく、

カルシウム摂取+アルカリ負荷+腎機能や脱水などの条件

です。

特に、

  • 牛乳をかなり多く飲む
  • カルシウムサプリも使用している
  • 活性型ビタミンD製剤を使用している
  • 腎機能が低下している
  • 脱水しやすい

といった人では注意が必要です。

④ 骨粗しょう症薬+食事・牛乳|30分以上

アレンドロン酸などのビスホスホネート製剤は、食べ物の影響を非常に受けやすい薬です。

アレンドロン酸は、

起床後すぐ、コップ1杯程度の水で服用し、少なくとも30分経ってから最初の食事

をとるよう定められています。

牛乳だけでなく、

  • コーヒー
  • ジュース
  • お茶

なども吸収に影響する可能性があります。

⑤レボチロキシン+食事・コーヒー・カルシウム・鉄

レボチロキシンは、食事や一部の飲み物・ミネラルによって吸収が低下することがあります。

特に注意したいのが、

  • 朝食
  • コーヒー
  • カルシウム製剤
  • 鉄剤

です。

何時間あける?

朝食・コーヒー:服用後30〜60分程度
カルシウム・鉄:4時間以上

基本的には、朝起きて空腹時に水だけで服用し、30〜60分後に朝食やコーヒーという形が分かりやすいでしょう。

カルシウム製剤や鉄剤は影響が大きいため、レボチロキシンとは4時間以上あけることが推奨されています。

たとえば、

朝:レボチロキシン
昼〜夕:カルシウム・鉄

のように分けると管理しやすくなります。

⑥ 抗菌薬+牛乳・ミネラル|薬によって2〜6時間

抗菌薬の中にも、カルシウムやマグネシウム、鉄などと結合する薬があります。

代表的なのが、

  • ニューキノロン系抗菌薬
  • テトラサイクリン系抗菌薬

です。

これらの薬は金属イオンとキレートと呼ばれる複合体を作り、体内に吸収されにくくなります。

⑦シプロフロキサシンの場合

シプロフロキサシンでは、

  • カルシウム
  • マグネシウム
  • アルミニウム

などを含む製品について、

薬の少なくとも2時間前、または6時間後

とする指示があります。

また、牛乳やヨーグルトだけと同時に服用すると吸収が低下する可能性があります。

⑧テトラサイクリン系+カルシウム|1〜3時間以上

テトラサイクリン系抗菌薬もカルシウムとキレートを作り、吸収量が低下する可能性があります。

国内のカルシウム製剤の添付文書では、テトラサイクリン系抗菌薬との併用について、

1〜3時間以上あける

よう記載されています。

「食べ合わせが悪い=時間をずらせばOK」ではない

ここまでを見ると、薬と食べ物の相互作用には大きく3種類あることが分かります。

① 胃や腸で直接ぶつかるタイプ

例:

  • 抗菌薬+カルシウム
  • レボチロキシン+カルシウム
  • ビスホスホネート+食事

このタイプは、
30分、2時間、4時間など間隔をあける
ことで避けられることがあります。

② 食べ物の影響がしばらく残るタイプ

代表例が、

グレープフルーツ

です。

食べ物自体が胃からなくなっても、酵素への影響が残ります。

そのため、

数時間ずらしただけでは解決しない

ことがあります。

③ 時間では解決できないタイプ

代表例が、

ワルファリン+納豆

です。

また、酸化マグネシウム+大量の牛乳についても、「同時に摂らなければ大丈夫」という相互作用ではありません。

まとめ|何時間あければいいかは組み合わせによって全く違う

薬と食べ物の「食べ合わせ」は、すべて同じではありません。

特に覚えておきたいのは、

「食べ合わせが悪い=2時間くらいあければ大丈夫」ではない

ということです。

30分開ければいいと思っている患者さんは少なくありません。
適切な服薬指導を心がけましょう

参考資料

  • 医薬品医療機器総合機構(PMDA):ワルファリンと納豆・クロレラ・青汁について
  • PMDA:ワルファリン患者向医薬品ガイド
  • PMDA:酸化マグネシウム添付文書
  • Yamada T, et al. A case of the milk-alkali syndrome with a small amount of milk and magnesium oxide ingestion.
  • PMDA:アレンドロン酸ナトリウム添付文書
  • Benvenga S, et al. Altered intestinal absorption of L-thyroxine caused by coffee. Thyroid. 2008.
  • Levothyroxine Sodium Prescribing Information, DailyMed
  • CIPRO Prescribing Information, FDA
  • Takanaga H, et al. Pharmacokinetic analysis of felodipine-grapefruit juice interaction.
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この記事を書いた人

Yukiのアバター Yuki 管理薬剤師

調剤薬局で15年、管理薬剤師として13年勤務。
現在は学校薬剤師として小学校・中学校にも関わりながら、薬剤師向けサイト「PharmaNote」を運営しています。

薬剤師としての現場経験と、テレビ・アニメ作編曲家としての表現の経験を活かし、やさしく親しみやすい情報発信を心がけています。

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