ビレーズトリ14.4が気管支喘息に承認!7.2との違いと注意点を解説

2026年8月24日、「ビレーズトリ14.4エアロスフィア56吸入・120吸入」が、気管支喘息の治療薬として承認されました。

ここで注意したいのが、従来のビレーズトリに単純に喘息の適応が追加されたわけではないことです。

・従来品:COPD用の「ビレーズトリ7.2」へ販売名変更
・新製品:喘息用の「ビレーズトリ14.4」として承認(発売日未定)

両者は名前も見た目もよく似ていますが、適応疾患と抗コリン薬の量が異なります。

今回は、ビレーズトリ14.4の特徴や抗コリン作用による注意点、7.2との取り違え、ドライパウダー吸入器(DPI)との違いについて解説します。

目次

ビレーズトリ14.4とは?7.2との違い

ビレーズトリは、次の3成分を配合した吸入薬です。

成分分類主な働き
ブデソニドICS:吸入ステロイド薬気道の炎症を抑える
グリコピロニウムLAMA:長時間作用性抗コリン薬気管支の収縮を抑える
ホルモテロールLABA:長時間作用性β2刺激薬気管支を広げる

炎症を抑えるICSに、異なる仕組みで気管支を広げるLABAとLAMAを組み合わせた3剤配合薬です。

シムビコート(ブデホル)に抗コリン薬を混ぜたタイプのpMDIですね。

7.2と14.4の違いを比較すると、次のようになります。

ビレーズトリ7.2ビレーズトリ14.4
適応COPD気管支喘息
対象年齢成人成人・12歳以上
ブデソニド/1吸入160μg160μg
グリコピロニウム/1吸入7.2μg14.4μg
ホルモテロール/1吸入4.8μg4.8μg
用法1回2吸入・1日2回1回2吸入・1日2回
吸入器pMDIpMDI

主な違いは、適応疾患とグリコピロニウムの量です。喘息用の14.4には、7.2の2倍量のグリコピロニウムが含まれます。

なお、製品名の「14.4」は1回量ではなく、1吸入あたりのグリコピロニウム量です。1回2吸入するため、実際の1回量は28.8μgとなります。

喘息に対する適応は、

気管支喘息(吸入ステロイド剤、長時間作用性吸入抗コリン剤及び長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)

です。

すべての喘息患者が最初から使用する薬ではなく、ICS/LABAなどで治療してもコントロール不良で、LAMAの追加が必要な患者が対象となります。
また、毎日使用する長期管理薬であり、起きている発作を速やかに改善する薬ではありません。

7.2と14.4は見た目がよく似ている

ビレーズトリ
ビレーズトリ7.2
ビレーズトリ14.4
ビレーズトリ14.4

激似です。

調剤過誤には間違いなく注意が必要です。

ビレーズトリ7.2と14.4は、どちらも同じエアロスフィア技術を用いたpMDIで、56吸入と120吸入があります。
用法も共通しているため、見た目や「ビレーズトリ」という名称だけで判断すると取り違える可能性があります。

メーカーも、14.4の承認に伴い、取り違え防止を目的として従来品を「ビレーズトリ7.2」へ販売名変更すると案内しています。

調剤時には次の3点をセットで確認したいところです。

  • 数字が「7.2」か「14.4」か
  • 適応疾患がCOPDか気管支喘息か
  • 処方歴やお薬手帳の製品と一致するか

患者さんにも「いつものビレーズトリ」ではなく、喘息用の14.4など、数字を含めて覚えてもらうと安心です。

なお、7.2への名称変更品の流通開始時期、旧販売名製品の販売終了時期、14.4の薬価収載・発売時期は、2026年8月29日時点では未定です。

今後、新旧名称が一時的に混在する可能性にも注意が必要です。

抗コリン薬が入っていることに注意

ビレーズトリ14.4には、LAMAであるグリコピロニウムが配合されています。
気道のM3受容体へのアセチルコリンの結合を妨げ、気管支収縮を抑える一方、抗コリン作用に由来する症状には注意が必要です。

閉塞隅角緑内障と排尿障害は禁忌

電子添文では、次の患者は禁忌です。

  • 閉塞隅角緑内障の患者
  • 前立腺肥大などによる排尿障害がある患者

ただし、「すべての緑内障」「前立腺肥大がある人すべて」が禁忌というわけではありません。
前立腺肥大症があっても排尿障害がない場合は禁忌ではありませんが、排尿障害が現れるおそれがあるため注意が必要です。

使用開始後は、口の渇き、目のかすみ、尿が出にくいといった変化を確認しましょう。
特に、尿が出ない、急な目の痛みや視界の異常がある場合は、速やかに医療機関へ相談するよう説明しておきましょう。

過活動膀胱治療薬など、ほかに抗コリン作用をもつ薬を使用していないかも確認が必要です。ただし、これらが電子添文上一律に併用禁忌というわけではありません。

パウダータイプとエアゾールタイプの違い

一般に「パウダータイプ」と呼ばれるものはDPI(ドライパウダー吸入器)です。一方、ビレーズトリはpMDI(加圧式定量噴霧吸入器)です。

「気体タイプ」と表現されることもありますが、薬そのものが気体なのではありません。噴射剤の力で薬剤を細かな霧として噴霧するタイプです。

DPI(ドライパウダー)pMDI(エアゾール)
薬の出方自分の吸う力で粉薬を取り込むボタンを押すと霧状に噴霧される
吸い方速く、強く、深くゆっくり、深く
吸う力ある程度必要比較的弱くても使用しやすい
操作上の注意十分な吸気流量が必要噴霧と吸入を合わせる必要がある
スペーサー原則使用しない同調が難しい場合に使用できる

どちらが優れているというより、吸う力や手指の操作、理解力、これまで慣れているデバイスに合わせて選ぶことが大切です。

ビレーズトリでは、
吸入前によく振り、吸い始めに合わせてボタンを押しながら「ゆっくり、深く」吸入します。

噴霧との同調が難しい場合は、スペーサーの使用が望ましいとされています。吸入後は、口腔カンジダ症や発声障害を予防するため、うがいまたは口すすぎを行います。

また、アクチュエーターは週1回洗浄します。初回の準備操作では、56吸入製剤は4回、120吸入製剤は2回の空噴霧が必要です。製剤によって回数が異なるため、使用説明書に沿って指導しましょう。

Yuki

個人的な感想ですが、少しデバイスを押すとき固いのが難点かな…。
と感じます。むせにくいのは利点ですね。

臨床試験では肺機能が改善

承認の根拠となった国際共同第III相KALOS試験には、中用量または高用量のICS/LABAを使用してもコントロール不良だった12歳以上の喘息患者2,144例が参加し、日本人52例も含まれていました。

ビレーズトリ14.4群では、ブデソニド/ホルモテロールのICS/LABA群と比べ、投与12~24週の朝の投与前トラフFEV1の変化量が42mL上回り、統計学的に有意な改善が認められました。なお、比較対照のブデソニド/ホルモテロール配合pMDIは日本未承認の製剤です。

42mLという差は統計学的には有意ですが、大幅な改善とまではいえません。「喘息なら誰でも3剤の方がよい」という結果でもなく、吸入手技や服薬状況などを確認したうえで、LAMAの追加が必要な患者に使用する薬と考える必要があります。

まとめ

ビレーズトリ14.4は、pMDIで使用できるICS/LAMA/LABAの3剤配合喘息治療薬です。

  • 喘息用は14.4、COPD用は7.2
  • 外観や用法がよく似ているため、数字と適応疾患を確認する
  • 抗コリン薬を含み、閉塞隅角緑内障と前立腺肥大などによる排尿障害は禁忌
  • pMDIなので、DPIとは異なり「ゆっくり、深く」吸入する

選択肢が増える一方、似た製品が並ぶことで新たな取り違えリスクも生まれます。薬剤名の数字、患者さんの疾患、吸入手技まで確認することが安全な使用につながります。

参考文献

  1. PMDA「ビレーズトリ7.2エアロスフィア56吸入・120吸入/ビレーズトリ14.4エアロスフィア56吸入・120吸入」電子添文(2026年8月改訂)
  2. アストラゼネカ株式会社「ビレーズトリ14.4エアロスフィア、気管支喘息に対して日本で承認を取得」(2026年8月24日)
  3. アストラゼネカ株式会社「ビレーズトリ7.2エアロスフィア 販売名変更のお知らせ」(2026年8月)
  4. アストラゼネカ株式会社「ビレーズトリエアロスフィア よくある質問」

※本記事は2026年8月29日時点の情報に基づいて作成しています。実際の使用にあたっては、最新の電子添文・適正使用情報をご確認ください。

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この記事を書いた人

Yukiのアバター Yuki 管理薬剤師

調剤薬局で15年、管理薬剤師として13年勤務。
現在は学校薬剤師として小学校・中学校にも関わりながら、薬剤師向けサイト「PharmaNote」を運営しています。

薬剤師としての現場経験と、テレビ・アニメ作編曲家としての表現の経験を活かし、やさしく親しみやすい情報発信を心がけています。

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