感染症

感染症(風邪含む)

ウイルスや細菌などの病原体によって引き起こされる病気を扱うカテゴリです。一般的な風邪やインフルエンザのような身近な感染症から、ワクチンで予防できる病気、慢性の感染症まで幅広く含まれます。

目次

主な病態

  • 急性上気道炎(いわゆる風邪):鼻水・咽頭痛・咳・発熱などを伴う最も一般的な感染症。多くはウイルス性。
  • インフルエンザ:急な高熱・全身の倦怠感・関節痛が特徴。流行期に注意。
  • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19):発熱・咳・倦怠感などの症状。重症化リスクのある人は注意が必要。
  • 肺炎:感染症の重症化として起こりやすい。特に高齢者は要注意。
  • 膀胱炎・腎盂腎炎:尿路の細菌感染。排尿時痛・頻尿・発熱などが症状。
  • 帯状疱疹:水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化による皮疹と神経痛。
  • ウイルス性肝炎(A型・B型・C型など):肝臓に炎症を起こすウイルス感染症。

主な検査値

検査項目基準値の目安ポイント
CRP(C反応性蛋白)0.3 mg/dL未満が目安炎症・感染で上昇する代表的なマーカー。細菌感染で上昇しやすい。
白血球数(WBC)3,300〜8,600 /μL程度細菌感染で増加することが多いが、ウイルス感染では正常〜低下することもある。
プロカルシトニン(PCT)低値が正常細菌感染(特に重症感染症・敗血症)でより特異的に上昇する。
抗原・抗体検査(インフルエンザ・COVID-19など)陰性迅速診断キットなどで実施。

よく使われる薬(代表例)

  • 解熱鎮痛薬:アセトアミノフェン、NSAIDsなど
  • 抗ウイルス薬:インフルエンザ治療薬、抗ヘルペスウイルス薬など
  • 抗菌薬(抗生物質):細菌感染症に使用。ウイルス感染には無効。
  • 去痰薬・鎮咳薬・整腸剤:対症療法として使用
  • ワクチン:インフルエンザ、肺炎球菌、帯状疱疹など予防のための予防接種

抗生剤区分

  1. 細胞壁の合成を妨げる
  2. タンパク質の合成を妨げる
  3. DNA・RNAの合成や働きを妨げる
  4. 葉酸の合成を妨げる
  5. 細胞膜を障害する

ヒトには細胞壁がなく、細菌とヒトではリボソームなどの構造も異なります。抗菌薬はこうした違いを利用して細菌を狙います。ただし、細菌に選択的に作用する薬でも、アレルギーや腎障害、肝障害、下痢などの副作用が起こらないわけではありません。

主な抗菌薬の分類と特徴

系統・代表薬主な作用・特徴主な注意点
ペニシリン系(アモキシシリン、アンピシリンなど)βラクタム系。細胞壁合成を阻害する。比較的狭い範囲を狙える薬から、βラクタマーゼ阻害薬を配合した薬まであるアレルギー、発疹、下痢。腎機能に応じた調整が必要な薬が多い
セフェム系(セファレキシン、セファクロル、セフトリアキソンなど)βラクタム系。世代や薬剤によって抗菌スペクトルが大きく異なるアレルギー、下痢。薬剤ごとの差が大きく、「セフェム系」だけでは特徴を一括りにできない
カルバペネム系(メロペネムなど)βラクタム系。幅広い菌に作用し、主に重症感染症で使用される広域薬であり、耐性菌対策の観点から必要性を見極めて使用する。腎機能低下時は投与量に注意
マクロライド系(クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど)50Sリボソームに作用し、タンパク質合成を阻害する。非定型病原体などにも用いられる消化器症状、QT延長。クラリスロマイシンはCYP3Aを介した相互作用が多い
テトラサイクリン系(ドキシサイクリン、ミノサイクリンなど)30Sリボソームに作用。非定型病原体、リケッチア、クラミジアなどにも用いられるカルシウム・鉄・マグネシウムなどで吸収が低下する薬がある。妊婦や小児では使用可否を慎重に判断
アミノグリコシド系(ゲンタマイシン、アミカシンなど)30Sリボソームに作用。主に好気性グラム陰性菌などに使用される腎障害、聴覚・平衡機能障害。注射薬ではTDMが重要
リンコサミド系(クリンダマイシン)50Sリボソームに作用。グラム陽性菌や嫌気性菌を対象に使われることがある下痢、偽膜性大腸炎を含む Clostridioides difficile 感染症に注意
ニューキノロン系(レボフロキサシン、シプロフロキサシンなど)DNAジャイレースやトポイソメラーゼⅣを阻害する。薬剤により呼吸器・尿路など幅広い感染症に用いられる腱障害、中枢神経症状、QT延長など。多価金属を含む薬・サプリメントで吸収が低下することがある
ST合剤(スルファメトキサゾール・トリメトプリム)細菌の葉酸合成を2段階で阻害する。尿路感染症やニューモシスチス肺炎などに用いられる発疹、血球減少、高カリウム血症、腎機能への影響、薬物相互作用に注意
グリコペプチド系(バンコマイシン、テイコプラニン)細胞壁合成を阻害する。MRSAなどのグラム陽性菌に用いられる腎障害などに注意。注射薬ではTDMを行い、AUCなどを参考に投与設計する
オキサゾリジノン系(リネゾリドなど)50Sリボソームに作用。MRSAやVREなどの耐性グラム陽性菌に用いられる血小板減少などの骨髄抑制、末梢・視神経障害、セロトニン作用薬との相互作用に注意
ニトロイミダゾール系(メトロニダゾール)嫌気性菌や一部の原虫に作用し、DNAを障害する飲酒との併用を避ける。末梢神経障害やワルファリンとの相互作用に注意

※代表薬と特徴を簡略化した一覧です。抗菌スペクトルや適応は同じ系統内でも異なります。

βラクタム系はさらに4つに分かれる

処方でよく見かけるペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系は、いずれもβラクタム環を持つ「βラクタム系抗菌薬」です。

βラクタム系は、主に次の4群に分けられます。

分類代表例特徴
ペニシリン系アモキシシリン、アンピシリン比較的狭域の薬から阻害薬配合剤まで幅がある
セフェム系セファレキシン、セファゾリン、セフトリアキソン世代・薬剤によって対象菌や安定性が異なる
カルバペネム系メロペネム、イミペネム・シラスタチン非常に広域。主に重症例や耐性菌が問題となる場面で使用
モノバクタム系アズトレオナム主に好気性グラム陰性菌に作用

作用機序で大きく分ける

抗菌薬は 細菌のどこを攻撃するか で分類できます。ヒトの細胞にない構造を狙うほど選択毒性が高い(=副作用が出にくい)のがポイント。

細胞壁合成βラクタム系(ペニシリン・セフェム・カルバペネム)、グリコペプチド(バンコマイシン)ヒトに細胞壁はない=比較的安全。殺菌的
タンパク合成(リボソーム)マクロライド、テトラサイクリン、アミノグリコシド、クリンダマイシン30S/50Sを阻害
核酸合成(DNA/RNA)キノロン(DNAジャイレース)、リファンピシン
葉酸合成ST合剤(サルファ+トリメトプリム)細菌だけが葉酸を合成
細胞膜ポリミキシン、ダプトマイシン
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この記事を書いた人

Yukiのアバター Yuki 管理薬剤師

調剤薬局で15年、管理薬剤師として13年勤務。
現在は学校薬剤師として小学校・中学校にも関わりながら、薬剤師向けサイト「PharmaNote」を運営しています。

薬剤師としての現場経験と、テレビ・アニメ作編曲家としての表現の経験を活かし、やさしく親しみやすい情報発信を心がけています。

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