マンジャロでどのくらい体重とHbA1cが下がる?
マンジャロ®皮下注アテオス(一般名:チルゼパチド)は、GIP受容体とGLP-1受容体の両方に作用する週1回投与の2型糖尿病治療薬です。
高いHbA1c低下作用に加えて、臨床試験では用量依存的な体重減少も認められており、近年非常に注目されている薬剤です。
一方で、「マンジャロ=痩せる薬」というイメージが先行しやすいため、
この記事では、マンジャロの効能・効果と作用機序、実際にどの程度HbA1cや体重が変化するのかを整理します。
マンジャロの効能・効果
マンジャロの電子添文上の効能・効果は、
2型糖尿病
です。
食事療法・運動療法を十分に行ったうえで、効果が不十分な場合に検討するとされています。
「体重減少」はマンジャロの効能・効果ではない
重要な点は
マンジャロの効能・効果に「肥満症」や「体重減少」は含まれていない
という点です。
チルゼパチドには強い体重減少作用が認められていますが、
マンジャロという製品として承認されているのはあくまで2型糖尿病です。
Yuki体重に保険適応はされていないことに注意だね!
マンジャロはGIP/GLP-1受容体作動薬
おさらいとしてみていきましょう。
マンジャロの特徴は、従来のGLP-1受容体作動薬とは異なり、
- GIP受容体
- GLP-1受容体
の2つのインクレチン受容体を活性化することです。
主に次のような作用によって血糖値を低下させます。
- 血糖値に応じてインスリン分泌を促進する
- グルカゴン分泌を低下させる
- インスリン感受性を改善する
- 胃内容排出を遅らせ、食後血糖の上昇を抑える
さらに、アルブミンと結合して作用時間が長くなるよう設計されているため、週1回の投与が可能です。
実際、HbA1cはどのくらい下がる?
日本人2型糖尿病患者を対象とした第III相試験「SURPASS J-mono」では、マンジャロの強い血糖降下作用が確認されています。
食事・運動療法で血糖コントロール不十分な日本人2型糖尿病患者636例を対象として、チルゼパチドとデュラグルチド0.75mgを52週間比較しました。
52週後のHbA1c変化量は、
| 投与群 | HbA1c変化量 |
|---|---|
| チルゼパチド5mg | −2.37% |
| チルゼパチド10mg | −2.55% |
| チルゼパチド15mg | −2.82% |
| デュラグルチド0.75mg | −1.29% |
でした。
チルゼパチドはいずれの用量でも、デュラグルチド0.75mgに対する優越性が示されています。
HbA1cが2%以上低下するケースも珍しくないという、非常に強力な血糖降下作用がマンジャロの特徴です。
体重はどのくらい減少する?
同じSURPASS J-monoでは、体重についても明確な減少が認められています。
52週間の体重変化量は、
| 投与群 | 体重変化量 | 体重変化率 |
|---|---|---|
| チルゼパチド5mg | −5.8kg | -7.8% |
| チルゼパチド10mg | −8.5kg | -11.0% |
| チルゼパチド15mg | −10.7kg | -13.9% |
| デュラグルチド0.75mg | −0.5kg | -0.7% |
特に15mgでは、平均10kgを超える体重減少が認められました。
ただし、これらはあくまで臨床試験における平均値です。すべての人が同じように体重減少するわけではありません。
また、マンジャロは体重を減らすためだけに増量する薬ではありません。


体重が減るなら、どんどん増量してよい?
マンジャロでは用量依存的な体重減少が認められています。
そのため電子添文では、血糖コントロールだけでなく体重減少にも注意し、増量の必要性を慎重に判断するよう記載されています。
過度の体重減少がみられた場合は、減量または投与中止を考慮します。また、投与開始時のBMIが23kg/m²未満の患者では、有効性・安全性が検討されていません。
薬剤師としてはHbA1cだけでなく、
- 体重やBMI
- 食事量
- 悪心・嘔吐
- 下痢・便秘
- 脱水
- 栄養状態
なども確認しておきたいところです。
マンジャロの用法・用量
通常、成人では
します。
5mgが維持用量です。
5mgで効果不十分な場合には、患者の状態を確認しながら4週間以上の間隔をあけて2.5mgずつ増量できます。
最大用量は
です。
2.5mgは基本的には導入用量であり、消化器症状などへの忍容性を確認しながら5mgへ移行する設計になっています。
胃腸障害などで忍容性が得られない場合には、減量や増量延期を検討します。
マンジャロを打ち忘れたらどうする?
マンジャロを打ち忘れた場合は、次回の投与までの時間によって対応が異なります。
次回投与まで72時間以上ある場合
気づいた時点ですぐに投与します。
その後は、あらかじめ決めていた曜日に戻して投与します。
次回投与まで72時間未満の場合
忘れた分は投与せず、次の予定日に1回分を投与します。
忘れた分を取り戻そうとして、2回分をまとめて投与してはいけません。
また、投与する曜日を変更する場合は、前回の投与から少なくとも72時間以上あける必要があります。
患者さんには必ず説明しましょう。
低血糖は起こる?
チルゼパチドによるインスリン分泌促進は、グルコース濃度依存的です。
そのため、単独療法ではSU薬やインスリン製剤ほど低血糖を起こしやすい薬ではありません。SURPASS J-monoでも重症低血糖は報告されませんでした。
ただし、
- SU薬
- 速効型インスリン分泌促進薬
- インスリン製剤
などと併用すると、低血糖リスクが高まります。必要に応じて併用薬の減量も検討されます。
また、マンジャロはインスリンの代わりにはなりません。インスリン依存状態の患者が自己判断でインスリンを中止すると、急激な高血糖や糖尿病性ケトアシドーシスを起こす危険があります。
効果判定は3~4か月を目安に
マンジャロ投与中は血糖値やHbA1cなどを定期的に確認し、治療効果を評価します。
電子添文では、
3~4か月間投与しても効果不十分な場合には、より適切な治療への変更を考慮する
とされています。
漫然と継続するのではなく、
という3点をセットで評価することが重要です。
まとめ
マンジャロは、GIP受容体とGLP-1受容体の両方に作用する週1回投与の2型糖尿病治療薬です。
日本人を対象とした臨床試験では、52週間でHbA1cが約2.4~2.8%低下し、体重も約5.8~10.7kg減少しました。
一方で、体重減少はマンジャロの承認された効能・効果ではありません。血糖値だけでなく、体重、食事量、消化器症状、脱水、栄養状態なども確認しながら使用する必要があります。
マンジャロを単なる「痩せる注射」と捉えるのではなく、2型糖尿病に対して強い血糖改善作用と体重減少作用を示す薬剤として理解しておきましょう。
参考文献
- マンジャロ®皮下注アテオス 電子化された添付文書(2026年5月改訂)
- PMDA 医療用医薬品情報「マンジャロ皮下注アテオス」
- Inagaki N, et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2022;10:623-633. SURPASS J-mono.
- Kadowaki T, et al. Lancet Diabetes Endocrinol. 2022;10:634-644. SURPASS J-combo.










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