糖尿病患者さんの間食・おやつ

糖尿病患者さんの間食・おやつ

糖尿病の患者さんへの投薬中に
「糖尿病だから甘いものは一切食べてはいけませんか?」
「和菓子なら食べても大丈夫ですか?」
「お腹が空くので間食したいのですが…」
このような相談を受けた経験はありませんか?

糖尿病の食事療法では、「甘いものは禁止」と考えられがちですが、実際には完全に禁止されているわけではありません。
重要なのは、おやつを食べる・食べないではなく、
量やタイミング、食べ方を工夫することです。

薬剤師さんは食事指導を専門に行う職種ではありませんが、患者さんから日常的な食事に関する相談を受ける機会は多くあります。
基本的な考え方を理解しておくことで、患者さんの安心感につながり、必要に応じて医師や管理栄養士への相談につなげる橋渡しにもなります。

本記事では、薬剤師さんが患者さんへ説明する際に知っておきたい、糖尿病患者さんの間食の考え方を解説します。

目次

糖尿病患者さんは甘いものを食べてはいけない?

糖尿病だからといって甘いものを完全に禁止する必要はありません。

糖尿病の食事療法で重要なのは、

・適切なエネルギー量
・栄養バランス
・継続できる食生活

です。

砂糖を含む食品を極端に避けたとしても、食べ過ぎれば血糖コントロールは悪化します。
また、適量の間食を守り、楽しみながら、食事療法を無理なく続けていらっしゃる患者さんも少なくありません。

ですので、一概に間食を否定する必要はありません。
完全に禁止であれば説明は至ってシンプルです。
しかし実際には、

「量や食べ方を工夫しましょう」

という説明が必要になるため、患者さんへどのように伝えるか悩む薬剤師さんも少なくありません。
どのように伝えたらいいのでしょうか。

間食はなぜ問題になりやすいか

そもそも、どうして間食が悪いと思ってしまうのでしょうか?
決して、間食そのものが悪いわけではありません。
問題となるのは、次の3つです。

・摂取エネルギーが増える
・糖質や脂質に偏りやすい
・習慣化しやすい

それぞれを見ていきましょう。

理由1:摂取エネルギーが増える

朝昼晩、ちょうど良い食事量を摂っているにもかかわらず、間食をプラスしてしまったら、当然1日あたりの摂取エネルギー量が増えます。
1回分は微々たるエネルギー量でも、チリも積もれば山となります。

理由2:糖質・脂質に偏りやすい

3度の食事では、糖質以外にも、たんぱく質や食物繊維を一緒に摂る場面が多くなります。
一方で、間食はどうしても糖質や脂質に偏りがちです。
そのため、血糖値が上昇しやすくなってしまいます。

理由3:習慣化しやすい

間食や甘い飲料というのは、一度習慣化するとなかなかやめられないものです。
特にお腹が空いていなくても「なんとなく口寂しい」という気持ちから、食べるものを探してしまうこともあります。

習慣化してしまうと、どんどんエネルギー量が積もってしまい、血糖値の管理が難しくなります。

間食というと、3時のおやつをイメージされる方が多いですが、

・食後すぐのデザート
・10時のおやつ
・3時のおやつ
・夜食

など、ルーティンとなっている場合もあります。

間食をするなら押さえたい3つのコツ

最初に伝えたように、間食が悪いわけではありません。
間食を完全NGにする必要もありません。
コツを押さえて食べられることを伝えましょう。

コツ1:量

ついつい食べ過ぎてしまった!
を防止するために、

・個包装や食べきりサイズを選ぶ
・(洗い物は増えてしまうけど)毎回お皿に出す

ようにしましょう。

食べる際に少し手間やコストがかかるルールを設けることで、その習慣から遠ざかるきっかけとなり、食べ過ぎを防ぎ、習慣を断ち切る可能性があります。

コツ2:タイミング

空腹時はつい大量に間食を摂りがちで、食後血糖値も上昇しやすくなります。
一般的には、食事の一部として少量を取り入れる方が血糖変動を抑えやすいとされているため、

甘いものを食べたいときは、食事の時に一緒に食べることがおすすめです。

ただし、治療内容や低血糖リスクによっては、この限りではありません。
間食について医師や管理栄養士から指導されている患者さんはその指示に従ってください。

コツ3:頻度

「毎日なんとなく食べる」「なんとなく口寂しいから」などの理由から習慣化してしまうと、知らず知らずのうちに総エネルギー量が増えやすくなります。

まずは患者さんに頻度を確認してみましょう。

「3度の食事以外に、何か食べたり飲んだりすることはありますか?」
「1週間に何回くらい食べますか?」

もしかすると、気にせず口にしていることもあります。
一度ご自身の摂取状況を客観的に記録をとることを勧めてもいいですね。

和菓子と洋菓子、どっちがいい?

これもよく聞かれる質問かと思います。
結論から言うと、
どちらが絶対に良いとは言えません。

和菓子を選ぶメリットは

・脂質が少ない
・比較的エネルギーが低いものが多い

という点がある一方、あんこなど砂糖を多く使用しているため糖質が多いというデメリットがあります。

洋菓子は、種類が豊富で様々な種類を飽きずに選べますが、
バター・生クリーム・チョコレートなど脂質が多いものを原材料としているため、高エネルギーになりやすいことがデメリットです。

 和菓子洋菓子
糖質多い多い
脂質少ない多い
エネルギー比較的低め高くなりやすい
ポイント糖質量に注意脂質・総エネルギー量に注意
大福 どら焼き まんじゅうショートケーキ シュークリーム クッキー

つまり、「和菓子だから安心」と言うわけではなく、食べる量が重要となります。

ゼロカロリーなら大丈夫?

アスパルテーム
ラカント
パルスイート・・・

「人工甘味料を使って低カロリーもしくは0カロリーと謳ってあるものならいくら食べても大丈夫。」
そう思われている患者さんもいらっしゃいます。

人工甘味料を使用した食品や飲料は、砂糖を使用した物に比べて血糖値への影響が少ないものがあります。
しかし、「ゼロカロリーだから」と安心して頻繁に摂取することで、甘いものを食べる習慣が続いてしまう可能性があります。

ですので、量やタイミングを守った上で選ぶのは問題ありませんが、
人工甘味料だからいくらでも摂って大丈夫とはならないことを確認しましょう。

糖尿病患者さんにおすすめしやすい間食

和菓子・洋菓子どちらも一長一短。
何なら食べていいの?
と言われるかもしれません。
もちろん量が大事なのですが、比較的取り入れやすい間食として

・無糖ヨーグルト  :菓子類と比べて血糖値が急激に上昇しにくい。無糖であっても糖質は含むので量に注意。
・チーズ      :糖質がほぼゼロで、たんぱく質と脂質で腹持ちがよい。ただし塩分・エネルギーは高めなので少量で。
・ナッツ(少量/例:個包装1袋 等)  :食物繊維・良質な脂質・たんぱく質を含む。一方でエネルギーは高いのでひとつかみ程度に。
・果物(適量) ※下記のリンク参照  :食物繊維やビタミン・ミネラルが摂取できるが、一日の目安量の範囲内で。

などがあります。
患者さんの病状や治療内容により異なりますし、これらも量が重要になることは変わりありません。
具体的な量は、その方の年齢や体格によって変わりますので、医師・管理栄養士からの指示を受けるよう伝えてください。

明らかに食べる頻度や量が多い方に対しては、
「まずは今より減らしましょう」ということを伝えられるといいですね。

患者さんに伝えたいポイント

患者さんが知りたいのは「食べてはいけない食品」もしくは「食べていい食品」であることが多いです。
しかし、糖尿病の食事療法では食品を「良い/悪い」で分けることはせず、量・頻度・食べ方を工夫することが重要です。

・「完全に禁止ではありません」
・「食べる量を調整しましょう」
・「詳しい食事内容は管理栄養士に相談できますよ」

といった声かけを行い、患者さんの不安軽減や継続可能な食事療法につなげることができます。

まとめ

・糖尿病でも甘いものは完全禁止ではない
・間食は「量・頻度・タイミング」が重要
・和菓子は脂質が少ないが、糖質は多い
・洋菓子は脂質が多く、高エネルギーになりやすい
・「何を食べるか」だけでなく、「いつ、どのくらい食べるか」を患者さんへ伝えることが大切

参考文献

・日本糖尿病学会 『糖尿病診療ガイドライン2024』『糖尿病治療ガイド2024-2025』
・厚生労働省 『e-ヘルスネット』
・食品安全委員会 食品添加物(甘味料)に関する評価資料

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この記事を書いた人

栄養士・管理栄養士として、内科・外科・産婦人科のある病院、児童養護施設、調剤薬局など、幅広い現場で勤務。フリーランスとして特定保健指導にも携わっています。

乳児から高齢者まで、さまざまな年代の方を対象に、食事や栄養に関する支援を20年行ってきました。(2026年)

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