分包紙は何でできている?グラシンとセロポリの違い・防湿性を比較

分包紙は何でできている?グラシンとセロポリの違い・防湿性を比較

薬局で毎日のように使っている分包紙。

一包化や散薬の分包には欠かせませんが、

「グラシンとセロポリって、何が違うの?」

と聞かれると、意外と説明が難しいものです。

さらに最近では分包紙の供給不足も話題になっています。

今回は、代表的な分包紙であるグラシン紙とセロポリ紙について、素材・特徴・防湿性・使い分けをまとめます。

目次

分包紙には主に2種類ある

自動分包機で使用される代表的な包装材料は、

・グラシン紙
・セロポリ紙

です。基材となる素材が異なります。

分包紙比較

グラシン紙とは?

グラシン紙は、木材パルプを原料とした薄い紙です。

紙の繊維を細かく処理し、高密度に仕上げることで、一般的な紙よりも薄く、半透明になります。

分包紙として使われる場合は、グラシン紙にヒートシール用のポリエチレンなどを組み合わせたグラシンポリとして使用されます。

特徴

紙を主体とした素材
半透明(スリガラス風)
紙に近い柔らかな質感

セロポリと比較すると湿気を通しやすい
中の薬は確認できますが、錠剤の刻印や色などの視認性はセロポリに劣ります。

利点

  • 紙を主体とした包装材
  • 柔らかく、紙らしい触り心地
  • 適度に中身を確認できる
  • セロファン系とは違った破りやすさ・取り扱いやすさがある

欠点

  • セロファン系に比べると透明性が低い
  • 錠剤の刻印や色などを外から確認するときに見づらいことがある
  • 「紙だから防湿性が高い」とは限らない

セロポリ紙とは?

セロポリは、

セロファン+ポリエチレンなどの樹脂

を組み合わせた包装材料です。

利点

  • 透明性が高い
  • 錠剤の色・形・刻印などを確認しやすい
  • 見た目がクリア
  • 分包後の目視確認との相性がよい

欠点

  • グラシン系とは手触りや裂け方が異なる
  • セロファン単体では十分な防湿性を持たない
  • ポリエチレンなどと組み合わせた複合材では石油化学原料の影響も受ける
  • 製品によって構成や性能が異なる

セロファンはプラスチックではないの?

透明でツルツルしているため、セロファンを「プラスチックの一種」と思っている方も多いかもしれません。

しかし、セロファンの原料はセルロースです。

セルロースは木材など植物に含まれる天然の高分子で、セロファンは木材パルプから得られたセルロースをフィルム状に再生して作られます。

イメージとしては、

木材 → パルプ → セルロース → セロファン

です。

つまり、セロファンそのものは、ポリエチレンやポリプロピレンのような石油系プラスチックとは異なります。
ただし、分包紙として使うセロポリにはヒートシール性などを持たせるため、石油由来のポリエチレンなども使用されています。

グラシンとセロポリの違い

大きな違いをまとめると、次のようになります。

グラシンポリセロポリ
基材グラシン紙セロファン
主な原料木材パルプ木材由来セルロース
見た目半透明透明
中身の確認
防湿性
質感紙に近いフィルムに近い
石油由来素材ポリ層などに使用ポリ層などに使用

防湿性はセロポリの方が高い

実務上、両者の違いとして特に重要なのが防湿性です。

一般的な分包紙では、

グラシンポリよりもセロポリの方が透湿度が低く、防湿性に優れます。

実際、医薬品の安定性試験などで使用された分包紙を見ると、グラシンとセロポリで透湿度に数倍から10倍程度の差がみられる例もあります。

そのため、

湿気の影響を受けやすい薬剤では、包装材料としてはセロポリの方が有利

と考えることができます。

ただし、セロポリであってもPTP包装やアルミ包装と同等の防湿性があるわけではありません。

一包化後の安定性については、あくまで薬剤ごとのデータを確認する必要があります。

Yuki

長期間の分包は錠剤が湿気を吸ってしまうので注意が必要だね

グラシンとセロポリはどう使い分ける?

基本的には、使用している分包機に適合したメーカー指定の分包紙を使用します。
そのうえで素材の特徴だけを見ると、

セロポリが向いている場面

  • 錠剤の色や形を確認しやすくしたい
  • 分包後の視認性を重視したい
  • 少しでも防湿性を高めたい

グラシンが向いている場面

  • 紙に近い柔らかな質感を好む
  • 従来からグラシンを使用している
  • 使用している分包機・運用がグラシンを前提としている

という違いがあります。

「どちらが絶対に優れている」というより、分包機との適合性や薬局の運用も含めて選択するものと考えるとよいでしょう。

分包紙は紙なのに、なぜ石油不足と関係する?

ポリエチレンなどの石油由来樹脂というところから、中東情勢を考慮して、不足するのでは?

と考える方も多いかと思いますが、実際のところはメーカーからも

原材料そのものが確保できないことよりも、供給不安を懸念した注文の急増による影響が大きい

との説明も出ています。

つまり、

「石油不足で分包紙が作れなくなった」

という単純な話ではありません。逆に言えば、今まで通りの必要分の発注であれば分包紙の不足問題が改善される可能性が高いです。

分包紙の基材は木材由来ですが、一部には石油由来素材も使われており、さらに供給不安を背景とした前倒し発注が重なったことで、需給が逼迫しているというのが実態に近いでしょう。

まとめ

分包紙には代表的なものとして、

グラシンポリとセロポリ

があります。

グラシンは木材パルプから作られた紙、セロファンは木材由来のセルロースから作られたフィルムです。

そして実際の分包紙では、どちらもポリエチレンなどの樹脂と組み合わせて使用されています。

大きな違いは、

グラシン:半透明で紙に近い質感
セロポリ:透明性が高く、防湿性にも優れる

という点です。

普段何気なく使っている分包紙ですが、素材まで見てみると意外と奥が深い包装材料です。

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この記事を書いた人

Yukiのアバター Yuki 管理薬剤師

調剤薬局で15年、管理薬剤師として13年勤務。
現在は学校薬剤師として小学校・中学校にも関わりながら、薬剤師向けサイト「PharmaNote」を運営しています。

薬剤師としての現場経験と、テレビ・アニメ作編曲家としての表現の経験を活かし、やさしく親しみやすい情報発信を心がけています。

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