関節リウマチの治療で使うメトトレキサート(MTX)は、飲む曜日や回数が大切な薬です。ただ、週の量を一度に飲む人もいれば、2回・3回に分ける人もいます。一緒に処方される「葉酸」も、何のために飲むのか気になりますよね。
今回は、週1回の理由、分割服用、葉酸の役割に加え、飲み忘れたときの確認事項を整理します。
※今回は成人の関節リウマチに使用する経口MTXについての解説です。抗がん薬としての投与法や皮下注射製剤の用法とは異なります。
MTXは、関節リウマチ治療の土台となる薬
MTXは、関節リウマチの炎症と病気の活動性を抑える抗リウマチ薬です。治療の土台となる「アンカードラッグ」に位置づけられています。
痛いときだけ飲む鎮痛薬とは異なり、継続して使う薬です。
効果は通常4~8週間で現れ始めるため、飲んだ直後の痛みだけでは効き目を判断できません。
なぜ毎日ではなく、週1回なの?
MTXは、血液中の濃度が下がったあとも、細胞内で作用に関わる形として保持されます。
細胞に取り込まれたMTXにグルタミン酸が付加されると、「MTXポリグルタメート(MTX-PG)」になります。この細胞内への保持が、作用が続く仕組みの一つです。
ただし、「ちょうど7日間残るから週1回」という意味でもありません。
関節リウマチでは、効果と安全性を踏まえて、週単位で服用し、休薬期間を設ける方法が確立しています。
連日服用すると、骨髄抑制などの重篤な副作用につながるおそれがあります。
なお、低用量MTXの抗炎症作用は、細胞増殖の抑制だけでは説明できません。炎症を抑えるアデノシンの働きを増やす経路など、複数の仕組みが考えられています。
週の量と、服用回数は別
国内の経口製剤の承認用法では、通常6mg/週を1回、または2~3回に分けて服用します。状態に応じて増減し、上限は16mg/週です。
一方、学会の2023年版手引きでは、原則6~8mg/週で開始し、副作用の危険因子がある場合は原則4~6mg/週から慎重に開始する考え方が示されています。
なぜ2回・3回に分けて飲むの?
分割服用は、週の量を1~2日間で飲む方法
国内の承認用法では、分割する場合は12時間間隔で服用します。
| 飲み方 | 毎週月曜日から飲む場合の例 | MTXを飲まない日 |
|---|---|---|
| 1回 | 月曜8時に全量 | 火曜~日曜 |
| 2回 | 月曜8時・20時 | 火曜~日曜 |
| 3回 | 月曜8時・20時、火曜8時 | 水曜~日曜 |
※時刻は例です。
分割する理由の一つは、吸収
経口MTXは、一度に飲む量が増えると吸収が頭打ちになることがあります。
そこで、分割によって吸収を改善できる可能性があります。学会の手引きでは、8mg/週を超える場合は分割投与が望ましいとされています。
ただし、吸収がよくなることと、治療効果が高まることは同じではありません。国内の比較試験では、単回と3分割の間で効果・安全性に有意差はありませんでした。
分ければ必ずよく効く、副作用が減るとは限らないことが難しいところです。
葉酸は何のために飲むの?
副作用を減らし、治療を続けやすくするため
葉酸は、MTXによる葉酸代謝への影響を補い、副作用を減らすために併用します。学会の手引きでは、開始用量にかかわらず全例で併用を強く勧めています。
肝機能障害や消化器症状の軽減に役立ちますが、すべての副作用を防げるわけではありません。
口内炎の予防効果は研究によって不確実さがあり、血球減少の予防についても十分なデータがありません。
「葉酸の働きを邪魔する薬なのに、補って大丈夫?」と疑問に思うところです。
ただ、通常の低用量葉酸併用では、MTXの有効性が有意に低下することはレビューで確認されていません。
最後のMTX服用から、間隔をあける
学会の一般的な目安は、葉酸5mg/週を、最後のMTX服用から24~48時間後に飲む方法です。
MTXを月曜朝・夜、火曜朝に飲む場合、葉酸の目安は水曜朝~木曜朝です。最初ではなく、最後のMTX服用を基準にします。
この間隔は「MTXが全部消えるまで待つ」という意味ではありません。葉酸は、細胞内のMTXを早く抜く薬ではなく、副作用を減らすための薬です。
また、重篤な毒性や過量投与時の救済に使うロイコボリンとは区別します。飲みすぎを、患者さん自身が葉酸の追加で対処することはできません。
ひよりつまり、水曜に飲み忘れたら、木曜日でもええってこと?



そういうことだね、
患者さんで忘れてしまった方にはきちんとお話してあげよう
MTXを飲み忘れたら、どうする?
2回分をまとめて飲まないように指導しましょう。
「気づいたらすぐ飲む」と一律に案内するのは避けます。
週の全量を忘れたのか、分割の一部を忘れたのかによって、確認する内容が変わるためです。
相談時には、次の情報を整理します。
- 本来の服用曜日・時刻と各回の個数
- 実際に飲んだ日時・個数
- 忘れたのは全量か、分割の一部か
- 次回のMTXと葉酸の予定
- 発熱や口内炎などの症状の有無
毎日飲んだ、予定より多く飲んだ場合は、症状がなくても直ちに医療機関へ連絡するように指導しましょう。
まとめ


MTXの服薬指導では、週用量・分割方法・休薬期間・葉酸の服用日をセットで確認することが大切です。
「週1回」と伝えるだけでなく、患者さん自身に
を説明してもらうと、認識のずれを見つけやすくなります。
分割投与には吸収改善の狙いがありますが、効果や安全性が必ず向上するわけではありません。
また、葉酸は副作用を減らすために併用する薬で、MTXを早く排泄させるものではありません。
MTXは主に腎臓から排泄され、腎機能低下や脱水で毒性が強まることがありますので検査値にも注意してみていきましょう。
継続時は、血算・肝機能・腎機能の推移に加え、脱水、併用薬、発熱・口内炎・呼吸器症状などを確認します。
飲み忘れ時には実際の服用状況を整理し、連日服用や過量服用があれば、症状がなくても直ちに医療機関へ連絡するよう指導しましょう。
参考資料
国内の用法・服薬指導・安全性
- PMDA:リウマトレックスカプセル2mg 電子添文 電子添文を読む
- 日本リウマチ学会:関節リウマチにおけるメトトレキサート使用と診療の手引き2023年版【簡易版】手引きを読む(PDF)
- PMDA:リウマトレックスカプセル2mg 患者向医薬品ガイド患者向医薬品ガイドを読む(PDF)
- PMDA医療安全情報No.49:抗リウマチ剤メトトレキサート製剤の誤投与(過剰投与)について医療安全情報を読む(PDF)










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