分割調剤とは?3つのパターンをわかりやすく整理

分割調剤とは?3つのパターンと算定・処方箋の扱いをわかりやすく整理

分割調剤とは、1枚の処方箋に記載された薬剤を一度にすべて交付せず、複数回に分けて調剤する仕組みです。
分割調剤には、次の3種類があります。

  • 薬剤の長期保存が困難な場合
  • 後発医薬品を試用する場合
  • 医師が分割調剤を指示した場合

同じ「分割調剤」でも、分割する理由によって、回数上限・薬局での対応・2回目以降の算定方法が異なります。
特に、すべての分割調剤が「最大3回まで」ではない点に注意が必要です。

目次

まず確認|分割調剤の早見表

分割調剤の3パターン
分割する理由判断・指示主な要件分割回数同一薬局での2回目以降
長期保存が困難薬剤師が必要性を判断し、処方医へ照会14日分を超える処方で、長期保存が困難などの理由がある明確な上限規定なし調剤基本料5点
後発医薬品の試用患者の希望・同意に基づき薬剤師が対応初めて先発品から後発品へ変更する場合2回調剤基本料5点
医師の指示医師が処方箋で指示患者の同意が必要最大3回対象となる点数を分割回数で割る

長期保存困難による分割調剤は、14日分を超える処方が対象です。
後発医薬品の試用では2回目の調剤に限って5点を算定し、医師指示によるものでは調剤基本料、薬剤調製料、薬学管理料などを分割回数で除して算定します。

分割調剤って、全部最大3回までじゃないん?

医師の指示による分割調剤場合だけだね。
後発医薬品のお試しは2回。長期保存困難によるものには、点数表上、明確な回数上限は示されていないよ。

分割調剤を行ったときの共通対応

分割調剤では、今回必要な数量のみを調剤します。

未調剤分が残る場合は、処方箋に必要事項を記載し、調剤録等を作成したうえで、
処方箋原本を患者へ返却します。すべての調剤が完了した時点で調剤済みとし、最終回の調剤を行った薬局が原本を保管します。

処方箋に記載する主な事項

  • 今回の調剤量
  • 調剤年月日
  • 薬局の名称・所在地
  • 調剤した薬剤師の氏名
  • 分割調剤の理由
  • 必要に応じて疑義照会や変更内容

1回目の調剤が終わったら、処方箋は薬局で預かるん?

まだ未調剤分が残っているなら、必要事項を書いて患者さんへ返すよ。
次回も同じ原本が必要だから、なくさないように説明しておこう。

分割調剤(長期処方)

どのような場合?

次の両方を満たす場合に検討します。

  • 投薬日数が14日分を超えている
  • 長期保存が困難であるなど、分割する必要がある

薬剤師が必要性を判断しただけで実施するのではなく、処方箋受付時に処方医へ照会します。分割理由や照会内容は、調剤録等への記録が必要です。

現場での対応

  1. 薬剤の安定性を確認する
  2. 何日分ずつ交付するか検討する
  3. 処方医へ照会する
  4. 分割理由と照会内容を記録する
  5. 今回分を調剤する
  6. 未調剤分があれば原本を患者へ返却する

長期保存が困難となる例

調製後の水剤・シロップ剤
混合・希釈後の水剤では、成分の分解、沈殿、変色、微生物汚染などにより、処方日数分の品質を保つことが難しい場合があります。
例えば30日処方について、安定性を確認した結果、15日分ずつ調剤する必要があるケースです。

粉砕・一包化後の安定性が不十分な薬剤
PTP包装から取り出したり錠剤を粉砕したりすると、吸湿・光・温度の影響を受けやすくなることがあります。
無包装状態や粉砕後の安定性が、処方日数分まで確認できない場合には、複数回に分けることを検討します。

患者宅で長期保管が難しい薬剤
冷所保存が必要な薬剤などについて、患者宅で処方日数分を適切に保管することが難しい場合も考えられます。
ただし、水剤や一包化、冷所保存薬であれば自動的に分割できるわけではありません。
添付文書、インタビューフォーム、安定性試験などを確認し、分割が必要となる具体的な根拠を残します。

2回目以降の算定

項目算定方法
調剤基本料1分割調剤につき5点
薬剤調製料
調剤管理料
外来服薬支援料2
通算日数に対応する点数-前回までの算定点数
その他の薬学管理料算定不可
薬剤料今回交付した分を算定

長期保存困難による2回目以降の調剤では、調剤管理料と外来服薬支援料2を除く薬学管理料は算定できません

通算日数による算定とは?

60日処方を30日ずつに分けた場合、2回目に「30日分の点数」を改めて算定するわけではありません。
60日分に対応する点数から、1回目に算定済みの点数を差し引いて算定します。

分割処方(後発医薬品)

後発医薬品へ変更可能な処方箋について、患者が初めて先発医薬品から後発医薬品へ変更するときに、短期間だけ試すための分割調剤です。
主な条件は次のとおりです。

  • 後発医薬品への変更が可能である
  • 初めて該当する後発医薬品へ変更する
  • 患者が試用を希望している
  • 患者の同意を得ている

分割上限は2回です。(初回+次回)

1回目に後発医薬品を短期間交付し2回目に体調変化や副作用、使用感などを確認します。
その結果と患者の意向を踏まえ、後発医薬品を継続するか、変更前の先発医薬品へ戻すかを判断します。

前に別の病院で同じジェネリックを飲んだことがあっても、お試しできるん?

対象は、初めてその後発医薬品を服用する場合などだよ。
お薬手帳や薬歴で過去の使用歴を確認して、単なる少量交付にならないようにしよう。

現場での対応

1回目

  1. 後発医薬品への変更可否を確認する
  2. 過去の使用歴と患者の希望を確認する
  3. 試用期間分を調剤する
  4. 分割した旨を処方医へ連絡する
  5. 分割理由を調剤録等へ記録する
  6. 原本を患者へ返却する

2回目

  1. 体調変化や副作用の有無を確認する
  2. 飲みやすさや使用感を確認する
  3. 患者の意向を確認する
  4. 後発医薬品または変更前の先発医薬品を調剤する
  5. 必要事項を処方医へ連絡・記録する
  6. 調剤済みとなった原本を保管する

変更前の先発医薬品へ戻した場合も、その旨を処方医へ連絡し、再変更した理由を調剤録等へ記録します。

2回目の算定

項目算定方法
調剤基本料5点
薬剤調製料
調剤管理料
外来服薬支援料2
通算日数に対応する点数-前回までの算定点数
服薬管理指導料要件を満たせば算定可能
その他の薬学管理料算定不可
薬剤料今回交付した分を算定

後発医薬品試用の2回目では、要件を満たした場合に、調剤管理料、服薬管理指導料、外来服薬支援料2を算定できます。

分割調剤(医師指示)

どのような場合?

医師が、患者の服薬状況や薬学的管理の必要性を考慮し、処方箋に分割回数や各回の日数を指示する分割調剤です。
例えば、次のような患者が想定されます。

  • 飲み忘れや飲み間違いが多い
  • 残薬が多い
  • 副作用や体調変化を途中で確認したい
  • 多剤服用で継続的な管理が必要
  • 一度に長期間分を渡すことが適切でない

患者の同意のもとで行い、分割回数は最大3回です。
薬局側で回数や各回の日数を自由に変更するものではありません。

現場での対応

  1. 処方箋と分割指示の内容を確認する
  2. 患者に、原則として同じ薬局で継続するよう説明する
  3. 指示された日数分を調剤する
  4. 未調剤分があれば原本を患者へ返却する
  5. 2回目以降は服薬状況や体調変化を確認する
  6. 確認結果を処方医へ情報提供する

2回目以降の情報提供には、次の内容を含めます。

  • 残薬の有無
  • 残薬量と生じた理由
  • 服薬中の体調変化
  • 副作用が疑われる症状
  • 原因として考えられる薬剤

2回目も、処方箋どおり薬を渡せばええん?

医師指示の分割調剤では、それだけでは不十分だよ。
途中の服薬状況や体調を確認して、処方医へ情報提供するところまでが必要なんだ。

算定方法

医師指示による分割調剤では、分割しなかった場合に算定する次の点数を合算し、処方箋に記載された分割回数で割って各回に算定します。

  • 調剤基本料および加算
  • 薬剤調製料および加算
  • 薬学管理料

小数点以下第一位を四捨五入します。
服薬情報等提供料は分割回数で割らず、要件を満たした場合に所定点数を算定できます。

算定例

3回の分割指示で、対象となる点数の合計が180点の場合は、

180点÷3回=各回60点

となります。
薬剤料は、各回に実際に交付した薬剤分を算定します。

分割調剤は2回目以降に何日分調剤できる?

長期保存困難後発医薬品試用による分割調剤では、患者の来局が遅れた場合、処方箋上の残りをすべて交付できるとは限りません。

交付上限日数の計算式

処方日数 + 処方箋の使用期間の日数 - 初回調剤日から今回の調剤日までの日数

使用期間が4日を超えて記載されている場合でも、この計算では4日として扱います。

実際に交付できるのは、次のうち少ない方です。

・処方箋上の残日数
・計算式で求めた交付上限日数

例|30日処方を初回に5日分調剤

  • 初回調剤日:4月4日
  • 処方日数:30日分
  • 初回交付:5日分
  • 残日数:25日分
  • 処方箋の使用期間:4日

4月10日に来局の場合

初回調剤日から今回までの日数は、4月4日を含めて7日です。
30+4-7=27日分 (処方日数 + 処方箋の使用期間の日数 - 初回調剤日から今回の調剤日までの日数
残日数は25日分なので、25日分すべてを交付できます。

4月20日に来局の場合

初回調剤日から今回までの日数は17日です。(4月4日~4月20日)
30+4-17=17日分 (処方日数 + 処方箋の使用期間の日数 - 初回調剤日から今回の調剤日までの日数
残日数は25日分ありますが、交付できるのは17日分までです。

あと25日分残っているのに、全部は渡せんの?

「残っている日数」と「計算上交付できる上限日数」の、少ない方なんだ。来局が遅れたからといって、処方箋を無期限に使えるわけではないよ。

分割調剤とリフィル処方箋の違い

分割調剤は、1枚の処方箋に記載された総量を複数回に分けて交付する仕組みです。

一方、リフィル処方箋は、1回分の処方箋を定められた回数まで繰り返して使用する仕組みです。

分割調剤リフィル処方箋
薬剤の考え方処方された総量を分ける1回分の処方を繰り返す
主な目的保存、後発品の試用、継続的な服薬管理安定した慢性疾患での再診負担軽減
回数分割理由により異なる最大3回
算定分割理由に応じた特別な算定原則として各回通常どおり算定

まとめ|処方箋を受け付けたら確認すること

分割調剤のルール比較まとめ

分割調剤では、まず次の順番で確認します。

  1. どの理由による分割調剤か
  2. 今回が何回目か
  3. 何日分まで調剤できるか
  4. 何を算定できるか
  5. 未調剤分が残る場合は原本を返却する

分割理由によって、回数上限や2回目以降の算定方法は異なります。

特に、後発医薬品の試用は2回、医師指示は最大3回、長期保存困難には明確な回数上限が示されていないという違いを押さえておきましょう。

※本記事は、2026年7月時点の令和8年度調剤報酬点数表および留意事項通知をもとに整理しています。個別の算定では、最新の告示・通知、疑義解釈等も確認してください。

参考

・厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」
・厚生労働省「令和8年度 調剤報酬点数表」
・厚生労働省・地方厚生局「令和8年度診療報酬改定の疑義解釈」
・厚生労働省「医薬品の適切な使用の推進について」

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この記事を書いた人

Yukiのアバター Yuki 管理薬剤師

調剤薬局で15年、管理薬剤師として13年勤務。
現在は学校薬剤師として小学校・中学校にも関わりながら、薬剤師向けサイト「PharmaNote」を運営しています。

薬剤師としての現場経験と、テレビ・アニメ作編曲家としての表現の経験を活かし、やさしく親しみやすい情報発信を心がけています。

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