【2026年新設】薬学的有害事象等防止加算をわかりやすく解説
薬学的有害事象等防止加算
2026年度調剤報酬改定で、「重複投薬・相互作用等防止加算」が廃止され、新たに「薬学的有害事象等防止加算」が新設されました。
「結局、今までの加算と何が違うの?」
と思った方も多いのではないでしょうか。
実際のところ、重複投薬や相互作用への介入を評価するという考え方自体は大きく変わっていません。
ただし今回の改定では、電子処方箋の活用や薬剤情報の一元管理など、これまで以上に
「患者さんがどんな薬を使っているのかを確認し、安全な薬物療法につなげること」が重視されています。
この記事では、
- 薬学的有害事象等防止加算とは何か
- どのような場合に算定できるのか
- 調剤時残薬調整加算との違い
- 現場で注意すべきポイント
を整理していきます。
薬剤服用歴、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律に基づく電磁的記録をもって作成された処方箋の仕組みを用いた重複投薬の確認等に基づき、処方医に対する照会(残薬調整に係るものを除く。)の結果、処方に変更が行われた場合は、次に掲げる点数をそれぞれ所定点数に加算する。
まず結論
薬学的有害事象等防止加算は、
「薬剤師が薬学的な問題を発見し、疑義照会によって処方変更につながったこと」
を評価する加算です。
一方で、
- 残薬調整
- 飲み忘れによる日数変更
などが主な目的の場合は、
調剤時残薬調整加算
の対象になります。

まずはこの違いを押さえておくと理解しやすいと思います。
薬学的有害事象とは
簡単に言うと、
「このまま処方すると患者さんに何らかの不利益が生じる可能性がある状態」
のことです。
例えば、
- 重複投薬
- 相互作用
- 禁忌
- 副作用リスク
- 腎機能に対する過量投与
- 高齢者への不適切処方
- 同効薬の重複
などが該当します。
薬剤師がこうした問題に気づき、医師へ確認した結果、処方変更につながった場合に評価されるのが薬学的有害事象等防止加算です。
算定できる条件
- 薬歴、お薬手帳、患者さんからの聞き取り、オンライン資格確認などの体制を有し、電子処方箋などから薬学的な問題を発見します。
(電磁的記録をもって作成された処方箋の仕組みを用いた重複投薬の確認) - 処方変更
この二つが条件となります。
実際に処方変更が行われることが必要です。
算定できる事例
事例① 相互作用
- アゾール系抗真菌薬とスタチンが処方
- 横紋筋融解症のリスクを確認
- 疑義紹介
- スタチン中止
事例② 腎機能低下
- eGFR 25
- レボフロキサシン500mg処方のため、用量過多を確認
- 疑義紹介
- 250mgへ変更
事例③ 重複投薬
- 他院処方との重複を確認
- 疑義照会
- 1剤中止
算定できない事例
事例① 処方変更なし
- 疑義照会
- 医師「そのままでお願いします」
- 変更なし
→算定不可
事例② 残薬調整
- 患者さんが大量の残薬を持参
- 日数調整
- 調剤時残薬調整加算
× 薬学的有害事象等防止加算ではない
〇 調剤時残薬調整加算
現場で特に注意したいポイント
① 残薬調整加算との区別
今回の改定で最も混乱しやすいポイントですので、改めて確認しましょう
残薬が主な理由
→ 調剤時残薬調整加算
相互作用・重複投薬・副作用リスクなどが主な理由
→ 薬学的有害事象等防止加算
処方変更の理由を薬歴に残しておくと、後から見返した時にも分かりやすくなります。
② 電子処方箋の活用
新加算では、
「電磁的記録をもって作成された処方箋の仕組みを用いた重複投薬確認等」
という文言が盛り込まれています。
少し難しい文面ですが、
「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律に基づく電磁的記録をもって作成された処方箋」は、
いわゆる電子処方箋の定義に対応します。
また、「重複投薬の確認等」は
電子処方箋管理サービス上で行う重複投薬チェックなどを指していると考えると、文脈として自然です。
現時点では詳細な運用通知を待つ必要がありますが、
- 電子処方箋
- お薬手帳
- 薬歴
- 患者さんからの聞き取り
を組み合わせて確認することが、これまで以上に重要になりそうです。
③ 薬歴記載
返戻対策として、
- 何を問題と考えたか
- なぜ疑義照会を行ったのか
- どのように処方が変更されたのか
を記録しておくと安心です。
特に今後は、
「なぜその加算を算定したのか」
を説明できる記録が重要になると思われます。
まとめ
薬学的有害事象等防止加算は、
「薬剤師が薬学的リスクを発見し、処方変更につなげたこと」を評価する加算
です。
今回の改定で押さえておきたいポイントは次の3つです。
- 残薬調整とは別加算
- 処方変更が必要
- 電子処方箋・薬歴・お薬手帳を活用した一元管理が重要リスト
旧来の重複投薬・相互作用等防止加算の感覚で考えることもできますが、今後は「なぜ処方変更になったのか」をより明確に記録することが求められるかもしれません。
運用通知や疑義解釈資料が公表された際には、追加情報も確認していきましょう。



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