「尿酸値が高いと言われましたが、お酒飲まないんですよね」
「魚卵がいけないんですよね!」
「プリン体が高いものを気をつければいいんですよね。何が多いですか?」
投薬の時に、このように患者さんから質問されたことがあるのではないでしょうか。
高尿酸血症の食事療法というと、「プリン体を制限する」というイメージを強く持たれている患者さんがほとんどです。
しかし、実際の食事療法はプリン体だけを避ければ良いわけではなく、様々な生活習慣が尿酸値に関与しています。
今回は、高尿酸血症・痛風の患者さんへの服薬指導の際に役立つよう、食事療法の基本を整理します。
高尿酸血症とは
高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が高くなっている状態です。
血清尿酸値が7.0mg/dl を超えると高尿酸血症とされます。
尿酸塩結晶によって関節炎などを起こす疾患が、痛風です。
高尿酸血症そのものには自覚症状がないことも多いですが、
尿酸が高い状態が続き、尿酸塩結晶が関節などに蓄積し、
炎症を起こすことで痛風発作につながることがあります。
また、尿酸は尿路結石や腎障害とも関係があります。
高尿酸血症の患者さんは
などを合併していることも多いため、尿酸値だけを見るのではなく、生活習慣全体を考えることが重要です。
尿酸はどうやって作られる?
尿酸は、体内でプリン体が分解されることで作られます。
「プリン体」と聞くと、食品に含まれているイメージが強いかもしれません。
しかし実際は、体内でも合成されています。
そのため
「プリン体を摂取しなければ、尿酸値は上がらない」
というわけではありません。
食事から摂取するプリン体を見直すことは大切ですが、
プリン体そのものだけに注目せずに、生活習慣全体の見直しが必要となります。
「プリン体を避ければいい」は本当?
確かに、プリン体を食事から摂取することが、尿酸値に影響する要因の一つです。
以前は、「低プリン食」が強調されていたこともありました。
さて、具体的に何に気をつければよいでしょうか。

お酒だけやめるってわけではないんやね?



そう、食事も大切ですが、生活習慣を見直すことが大切だと
見直されていますね!
高尿酸血症・痛風の食事療法のポイント


大きく分けて
①プリン体の摂りすぎ注意
②アルコールを控える
③甘い飲み物・果糖の摂りすぎ注意
④水分をしっかり摂る
⑤肥満の改善
⑥野菜・海藻・乳製品の積極摂取
この6つのポイントがあります。
①プリン体の摂りすぎ注意
プリン体は、様々な食品に含まれていますが、
があります。
魚卵を気にされる方もいらっしゃいますが、
必ずしもプリン体が非常に多いとは限りません。
鶏肉も比較的プリン体を多く含んでいます。
プリン体を多く含む食品は、同時に重要なタンパク質源でもあります。
そのため
という点を伝える方が、適切でしょう。
プリン体摂取量は1日400mgを目安にと示されていますが、
実際にこの数字を伝えてもピンとこないと思います。
ですので、
「レバーや白子、干物などを毎日のように食べていませんか?」
というように、高プリン食品の摂取頻度を確認する方が実践的です。
②アルコールは種類に関わらず控える
高尿酸血症・痛風と聞くと、まず「ビール」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
確かに、ビールはプリン体を含むため、飲み過ぎには注意が必要です。
しかし、ここで重要なポイントは
「ビール以外のお酒なら大丈夫」というわけではない
ということです。
アルコールそのものに、尿酸値を上昇させる作用があります。
そのため、種類に関わらず飲みすぎないことが重要です。
患者さんから
「ビールをやめて、焼酎を飲むようにしてます!」
などと言われた場合は
「ビールのプリン体を減らしたという工夫は素晴らしいですね。
しかし、アルコールそのものも尿酸値をあげてしまうので、飲酒量そのものを減らせるといいですね」
と伝えるといいでしょう。
プリン体が少ないもしくはゼロの商品や、ノンアルコールの商品を上手に使いながら、楽しめるように支援しましょう。
③甘い飲み物・果糖の摂りすぎに注意
プリン体が注目されがちですが、実は注意する必要があるのが「果糖」の存在です。
果糖は体内で代謝される際に、その副産物として尿酸が生成されてしまいます。
・果物
・果糖を含む飲料
・ジュース類
・清涼飲料水
・スポーツドリンク
果物を一律に制限する必要はありませんが、果糖をはじめとする糖類を含む飲料、果物の過剰摂取には注意が必要です。
患者さんが
「お酒は飲まないのに、、、」
とおっしゃるときは、
「普段、水やお茶以外では何を飲んでいますか?」
と質問してみるのも一つです。
④水分をしっかり摂る
尿酸は尿から排泄されます。
そのため、十分な水分摂取を確保することも重要です。
夏場や運動時は、発汗という形で体内の水分量が失われることで、尿酸が体外に排出されにくくなってしまうため、より注意が必要です。
水分の選び方も重要です。
③で説明した通り、ジュースなどの摂取ではなく、
などを利用しましょう。
⑤肥満がある場合は体重管理を
プリン体・果糖の他に、エネルギー摂取量の見直しも重要です。
肥満を伴う患者さんは、食事内容の見直しと運動による減量が推奨されています。
といったように、一つの栄養素などに注目しがちですが、
それでは食生活全体を見誤る可能性があります。
「何を食べたか」だけでなく、「どのくらい食べたか」
これも尿酸値を考える上で重要です。
⑥野菜・海藻・乳製品などを上手に取り入れる
禁止食材に注目するだけでなく、食べてほしい食品を増やす、という視点も重要です。
野菜・海藻・芋類などを増やすことで、食事全体がカサ増しされ、食べ過ぎの防止になります。
また、尿酸はアルカリ性の尿に溶けやすく、酸性の尿に溶けにくい性質を持っています。
尿が酸性に傾くと、尿酸は溶けにくくなり、尿酸結石が形成されやすくなります。
があります。
また、牛乳やヨーグルトなどの乳製品はプリン体が少なく、痛風発作リスク低下との関連が報告されています。
しかし、乳脂肪分の摂りすぎには注意しましょう。
エネルギー摂取量や脂質摂取量にも配慮が必要な場合は、低脂肪・無脂肪タイプを選択する方法もあります。
患者さんへ聞いてみましょう
「普段、お酒はどのくらい飲まれますか?」
ビールだけじゃなく、お酒全般に注意が必要であることをアドバイスしましょう。
申告された量が適正量であっても、忘れずに目安量を伝えたり、
具体的な種類や量を具体的に聞くと、普段の飲酒量を把握しやすくなります。
「水やお茶以外の飲み物は何を飲んでいますか?」
清涼飲料水、スポーツドリンク、果汁入りのジュース
エネルギーがあるもの、特に果糖があるものを飲んでいる場合はより注意が必要です。
水・お茶の摂取を勧めましょう。
野菜・海藻・きのこ類や乳製品はどれくらい摂っていますか?
野菜や海藻などを取り入れたバランスの良い食事は、尿を極端に酸性にしない食生活という点でも重要です。
乳製品は、低脂肪・無脂肪タイプなどを上手に活用し、食事に取り入れてみましょう。
「食事で何か気をつけていることはありますか?」
プリン体が良くない
贅沢なものを食べないようにする
このようなイメージでいらっしゃる方がまだまだ多く、
そのイメージの中から過度もしくは誤った食事制限が見えることがあります。
そこから、必要な情報を追加していけることで、患者さんのQOL向上に寄与できます。
患者さんからのよくあるQ&A
ここでは、実際によくある患者さんの声をあげて見てみましょう
Q1:魚は食べない方がいい?
おそらく、魚にはプリン体が多いと紹介される機会があることから、この誤解が生まれるポイントかと思います。
確かに、魚にはプリン体が含まれています。
しかし、魚は良質なタンパク質・脂質を含む食品でもあるため、高尿酸血症であっても、禁止食材ではありません。
注意するポイントは
プリン体を多く含む食品を大量・頻回に摂取する習慣です
Q2:贅沢病なんでしょ?
そう言われる患者さんもまだまだいらっしゃいますね。
かつては、美食家や飲酒を頻繁にされる富裕層の方達がかかることで「贅沢病」と言われていました。
プリン体を多く含む肉や魚介類は、昔は高級食材だったこともあるかもしれません。
しかし、現代では、食生活、飲酒、肥満、ストレス、遺伝的体質などによって、
誰にでもかかる可能性がある疾患です。
Q3:ビールをやめて焼酎にしました!
先ほども説明しましたが、「痛風=プリン体=ビール」というイメージがとても強いです。
しかし、実際はプリン体だけでなくアルコールそのものも尿酸の生成に関わっているため
ビールを焼酎に変えることよりも、
まずは飲酒量そのものを減らすことが重要です。
Q4:何を食べたらダメですか?
基本的に、禁止食材はありません。
「プリン体の多いものを控えましょう」では不十分です。
この質問が飛んできた時には、
「普段、どんなものを食べたり飲んだりしていますか?」
と一歩踏み込んで聞いてみましょう。
高尿酸血症・痛風の食事療法は
「禁止食材を増やす」よりも「食生活全体を見直す」という視点を持って指導にあたりましょう。



ビールだけかと思ったわぁ…。残念や…。



そう、だから飲酒量自体を見直すことが大切なんですよ
まとめ
高尿酸血症・痛風の患者さんは、
痛風発作がない時期には自覚症状が乏しいことから、
服薬や生活習慣の改善を継続することの重要性を実感しにくい患者さんも見受けられます。
「贅沢病」というイメージもあり、そんなに深刻に思われていない様子が伺えることもしばしばあります。
ですが、もちろん放置することは得策ではありません。
というポイントを押さえながら、服薬指導のバリエーションとして追加していただけると嬉しいです。
参考資料
- 一般社団法人 日本痛風・尿酸核酸学会 『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版[2022年追補版]
- 厚生労働省e-ヘルスネット 『高尿酸血症』『アルコールと高尿酸血症・痛風』
※本記事は上記資料を参考に、管理栄養士としての栄養学的知見および臨床経験をもとに執筆しています。











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