【2026年版改定】特定薬剤管理指導加算1・2・3をわかりやすく解説
令和6年度調剤報酬改定で、
特定薬剤管理指導加算1・2に加え、新たに特定薬剤管理指導加算3が新設され、
その後の改定で点数や対象範囲の見直しも行われていますが、
- 特管1と特管3の違いが分かりにくい
- 特管2はどんな時に算定するのか迷う
- 同時算定できるのか判断に悩む
という場面も少なくありません。
この記事では、特定薬剤管理指導加算1・2・3について、それぞれの算定要件や注意点をわかりやすく整理していきます。
特定薬剤管理指導加算とは?
特定薬剤管理指導加算は、特に注意が必要な薬剤や治療に対して、
薬剤師が重点的な説明や指導を行った場合に算定できる加算です。
大きく分けると次の3種類があります。
- 特定薬剤管理指導加算1 → ハイリスク薬に関する指導
- 特定薬剤管理指導加算2 → 外来がん化学療法患者へのフォローアップ
- 特定薬剤管理指導加算3 → RMP資材の活用や選定療養等の説明
まずはそれぞれの内容を見ていきましょう。
特定薬剤管理指導加算1
「ハイリスク薬」に関する指導を評価する服薬管理指導料にかかる項目です。
ハイリスク薬とは
「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン(第2版)」において、
以下の3つの分類によって定義されています。
- 厚生労働科学研究「『医薬品の安全使用のための業務手順書』作成マニュアル(平成19 年3月)」において「ハイリスク薬」とされているもの
- 投与時に特に注意が必要と考えられる治療領域の薬剤
- 投与時に特に注意が必要と考えられる性質を持つ薬剤
参照:薬局における ハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン (第2版) /日本薬剤師会
ただし、ハイリスク薬に該当する薬剤であっても、すべてが特定薬剤管理指導加算の対象となるわけではありません。
算定できる薬剤や疾患は別途定められているため、対象薬剤・対象疾患を確認する必要があります。
ひより同じ薬なのに取れないことがあるん?



そう、同じ薬でも病気が違うと算定できなくなるんだ!
ハイリスク薬一覧と制限
厚生労働省が定める「特に安全管理が必要な医薬品」
- 抗悪性腫瘍剤
- 免疫抑制剤
- 不整脈用剤
- 抗てんかん剤
- 血液凝固阻止剤(内服薬)
- ジギタリス製剤
- テオフィリン製剤
- カリウム製剤(注射薬に限る。)
- 精神神経用剤
- 糖尿病用剤
- 膵臓ホルモン剤
- 抗HIV薬
【適応症が複数ある医薬品の例】
| 薬品名 | 算定可 疾患 | 算定不可 疾患 |
|---|---|---|
| フォシーガ | 糖尿病 | 慢性心不全 慢性腎臓病 |
| デパス | うつ病 | 不眠症 |
| サインバルタ | うつ病 | 糖尿病性神経障害 慢性疼痛 |
| ダイアップ | てんかん | 熱性けいれん |
上記のことを知った上で加算について考えていきましょう
イ:ハイリスク薬が新たに処方された場合(10点)
患者さんにとって、そのハイリスク薬が新たに開始された場合に算定できます。
例えば、
- ワーファリンが初めて処方された
- 抗不整脈薬が初めて開始された
- 抗悪性腫瘍剤が新規導入された
などが該当します。
ただし、
「当薬局では初めてだが、他薬局では継続して使用していた」
という場合は算定できません。
あくまで患者さんにとって初めて使用する薬剤であることが必要です。
ロ:用法・用量変更や副作用状況の変化等(5点)
ハイリスク薬の
- 用法変更
- 用量変更
- 副作用状況の変化
- 服薬状況の変化
などがあり、薬剤師が必要と認めて指導を行った場合に算定できます。
例えば、
- DOACの用量変更
- 抗てんかん薬の増量
- ワーファリン服用中に出血症状が出ている
といったケースです。
服薬指導で確認したい共通の5項目
ハイリスク薬に限らず、薬学的管理・服薬指導では患者さんごとに確認しておきたい基本項目があります。
日本薬剤師会の「ハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン」では、以下の5項目が共通して重要な確認事項として示されています。
- 処方内容の確認(薬剤名や用法・用量、服用期間)
- 服薬状況(アドヒアランス)の確認(飲み忘れの有無・飲み忘れた場合の対応)
- 副作用の確認と対処方法の説明
- 効果の確認
- 相互作用の確認(他院院から処方されている薬・市販薬、健康食品、サプリメント)
薬歴への確認事項の記載
ハイリスク薬では、上記5項目に加えて薬剤ごとの特有のリスクに応じた確認・指導が求められます。
ここでは代表例として「血液凝固阻止剤(抗凝固薬)」を見てみましょう。
血液凝固阻止剤で確認したいポイント
- 検査・手術前・抜歯時の服薬休止、服薬再開の確認等、服薬管理の徹底
- 出血傾向の確認(あざ、歯茎からの出血等)、過量投与の可能性の検討
- 納豆等、食事との相互作用の有無
- 日常生活(閉経前の女性に対する生理中の生活指導等)での注意点の指導
日本薬剤師会のガイドラインには薬効群ごとの確認ポイントがまとめられているため、服薬指導を行う際には一度目を通しておくと安心です。
特管1のポイント
- 処方箋受付1回につき1回のみ
- イとロは同時算定不可
- ハイリスク薬が複数あっても1回のみ
- 指導内容を薬歴へ記載
以前のような「ハイリスク薬だから毎回算定」という考え方ではなくなっているため注意が必要です。
特定薬剤管理指導加算2
外来がん化学療法を受けている患者さんに対するフォローアップを評価する加算です。
点数は100点と高額です。そのため、算定条件も厳しいです。
どんな時に算定できる?
対象となるのは、抗がん剤治療を受けている患者さんです。
- レジメン内容の確認 (お薬手帳、病院HP等)
- 副作用の確認
- 服薬状況の確認
- 医療機関への情報提供
を行います。
算定のポイント
特管2で重要なのは、「薬局と医療機関が連携して患者を支えること」です。
例えば、
- 強い吐き気が出ている
- 手足のしびれが悪化している
- 服薬できていない
といった情報を把握した場合には、医療機関へ情報提供を行います。
そのため、服薬フォローアップやトレーシングレポートとの相性が良い加算といえます。
特定薬剤管理指導加算3
令和6年度改定で新設された加算です。
薬剤の選択や安全性に関する説明を評価する加算になります。
イ:RMP資材等を用いた説明 + 緊急安全性情報の説明(5点)
患者向けの医薬品リスク管理計画(= RMP)のある医薬品が新たに処方されたうえでRMP資材を用いて説明した場合に算定できます。
また、
- 緊急安全性情報(イエローレター)
- 安全性速報(ブルーレター等)
が発出された際の安全性に関する情報提供と指導をした場合も対象になります。
RMPになれてくると忘れがちになるので注意しましょう。
注意点
RMP提出品目であっても、
- 患者向けRMP資材が存在しない場合は算定できません。
- RMPの策定・実施が解除された医薬品も算定不可 ※時期未定
- 初回のみ。同一薬剤で繰り返し算定できない
算定前にはPMDAで最新情報を確認しておきましょう。
PMDA RMP提出品目一覧(リンクあり) → 薬品名の右「添付文書等」 →右上 「患者向け」資料があればOK



上の順番で確認すると、患者資料が見つけられるよ
ロ:選定療養や供給不安定、バイオ後発品に関する説明(10点)
患者さんへ長期収載品の選定療養にかかわる内容です。
- 選定療養の対象となる先発医薬品を希望する患者へ説明した場合
- 医薬品供給不安定を理由に、前回と異なる銘柄で薬剤の交付することを説明した場合(「サワイ」→「トーワ」等)
- バイオ後続品に関する説明をした場合
選定療養の対象となる先発医薬品を希望する患者へ説明した際に
- 先発品を選んだ
- 後発品を選んだ
どちらの場合でも算定可能です。
また、令和8年度改定では、バイオ後発品についても対象となりました。バイオシミラーと呼ばれる薬です。
こちらも患者さんへ十分な説明を行い、適切な選択を支援した場合に算定できます。
薬歴等への記載内容
- 対象薬剤名を記録する
- RMP資材を活用したことを明記する
- 説明内容の要点を簡潔に記録する
- 選定療養対象薬剤名を記録する
- 供給困難による変更時は、変更後薬剤名を記録する
- レセプト摘要欄に、確保できなかった薬剤名を明記する必要がある
特管3のポイント
- イとロは同時算定可能
- 初回であれば算定可能
- 特管1・特管2との同時算定も可能
- RMP資材を用いた場合は対象薬剤名と指導内容を薬歴へ記載
- 選定療養の説明は選定療養対象薬剤名を記録する、
- 供給不安定に対して供給困難による変更時は、変更後薬剤名を記載
- レセプトに確保できなかった薬剤名を記載する。
同時算定について
特定薬剤管理指導加算は、組み合わせによって同時算定の可否が異なります。
ここは間違えやすいポイントなので、一覧表で確認しておくと便利です。
| 特管1イ | 特管1ロ | 特管2 | 特管3イ | 特管3ロ | |
|---|---|---|---|---|---|
| 特管1イ | |||||
| 特管1ロ | |||||
| 特管2 | |||||
| 特管3イ | |||||
| 特管3ロ |
まとめ


| 加算 | 点数 | 主な対象 | 算定タイミング | 同時算定 |
|---|---|---|---|---|
| 特管1 イ | 10点 | ハイリスク薬が新規処方 | 患者に初めて当該薬剤が処方された時 | 1ロとは不可 |
| 特管1 ロ | 5点 | ハイリスク薬の用法用量変更、副作用状況変化など | 薬剤師が必要と認め指導した時 | 1イとは不可 |
| 特管2 | 100点 | 外来がん化学療法患者 | レジメン確認、服薬状況確認、医療機関へ文書提供 | 1・3と要件満たせば可 |
| 特管3 イ | 5点 | 患者向けRMP資材、安全性情報 | 当該患者に最初に用いた時 | 3ロ・1・2と可 |
| 特管3 ロ | 10点 | 選定療養、供給不安定による銘柄変更、バイオ後続品説明 | 調剤前に選択に係る説明をした時 | 3イ・1・2と可 |
特定薬剤管理指導加算は、まずは大雑把に
- ハイリスク薬への対応 → 特管1
- 外来がん化学療法への対応 → 特管2
- RMP・選定療養・供給不安定対応 → 特管3
と整理すると理解しやすくなります。
特に近年は、選定療養や医薬品供給不足への対応など、薬剤師による説明業務の重要性が高まっています。
算定要件だけでなく、「なぜその説明が必要なのか」を意識しながら活用していきたいところです。






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