【2026年新設】薬局の時間外調剤が選定療養の対象に
2026年6月から、薬局の時間外対応に関する制度が変更されました。
これまで薬局では、夜間や休日などの開局時間外に調剤を行った場合、「時間外加算」や「休日加算」などを算定して対応していました。
しかし今回の改定により、緊急性のない時間外調剤については「選定療養」として患者さんに特別料金を求めることが可能となりました。
今回は、この制度の概要と、現場で気を付けたいポイントをわかりやすく解説します。
そもそも選定療養とは?
選定療養とは、保険診療とは別に患者さんが希望したサービスに対して自己負担が発生する制度です。
簡単にいうと「自費」という事になりますね。
近年では、
- 長期収載品(先発医薬品)の選定療養
- 大病院の紹介状なし受診
などがよく知られています。
今回新たに、
「緊急性のない時間外調剤」
が選定療養の対象として追加されました。
なぜ導入されたの?
背景には以下のような課題があります。
- 薬剤師の働き方改革
- 不要な時間外対応の削減
- 本当に必要な患者への対応体制確保
例えば、
- 日中に受け取れた処方箋
- 急ぎではない定期薬
にもかかわらず、患者さんの都合だけで深夜や休日対応を求められるケースがあります。
その結果、薬局や薬剤師への負担が大きくなっていました。
夜間・休日等加算、時間外等加算(時間外、休日、深夜)の違い
時間帯によって加算項目が異なります。ここが一番混乱しやすいポイントです。
- 夜間・休日等加算時間外加算
- 時間外加算
- 休日加算
- 深夜加算
上記の4つが条件によって変わる加算項目になります。
今回は「時間外加算」についてですが、せっかくなのでまとめてみてみましょう。
夜間・休日等加算
一番使うことが多い加算かと思います。
薬局の開局時間内であっても、特定の時間帯(夜間・休日)に調剤を行った場合に算定できる加算です。
これは名前は似ているものの「時間外等加算」とは異なる制度です。
保険診療のルールに基づき、処方箋の受付1回につき40点が算定される加算です。
✓「夜間・休日等加算」は薬局が表示する開局時間内の特定の時間帯。
平日:19:00~8:00
土曜:13:00~8:00
✓休日加算の対象となる休日(日・祝日・12/29-1/3)にあって、保険薬局が表示する開局時間内に調剤を行った場合
→普段から日曜を開局時間内と表示している場合。
※開局時間外でも、門前医院が診察を延長するなどして、調剤薬局の開局時間が延びている場合などは、「時間外加算」ではなく、「夜間・休日等加算」の対象となります。
隠れたカッコ書きがあるという印象ですね。
(薬局開局時間内の)夜間・(法定)休日(も普段から開けている場合)等加算
薬局開局時間内が絶対条件
休日加算の対象となる休日(日曜、祝日、12月29日〜1月3日)であっても、もともと薬局が開局していて、表示する開局時間内である場合は、休日加算ではなく夜間・休日等加算の対象となります。
ただし、時間外等加算の要件も満たす場合には、夜間・休日等加算ではなく、時間外等加算を算定します。
時間外等加算
時間外等加算には、時間外加算、休日加算、深夜加算の三つがあります。
| 区分 | 算定要件 | 点数 |
|---|---|---|
| 時間外加算 | ・薬局が表示する開局時間以外の時間(深夜以外)に調剤を行った場合 | 調剤基本料等の基礎額の100分の100に相当する点数 |
| 休日加算 | ・休日(日曜日、国民の祝日、年末年始[12/29〜1/3])であって、 薬局が表示する開局時間以外の時間(深夜以外)に調剤を行った場合 ・休日であっても、薬局が表示する開局時間内は算定不可 | 調剤基本料等の基礎額の100分の140に相当する点数 |
| 深夜加算 | ・22:00〜6:00までの間に調剤を行った場合 ・この時間帯であっても、薬局が表示する開局時間内は算定不可 | 調剤基本料等の基礎額の100分の200に相当する点数 |
出典:調剤報酬点数表(厚生労働省)
https://www.nichiyaku.or.jp/files/co/pharmacy-info/2026/20260402_01.pdf
ここでは、先ほどとは真逆で、
薬局時間外
これが絶対条件になります。そして時間や条件により三つに分かれるようになります。
条件をまとめると
- 薬局時間外
- 一度薬局を閉めてから開けて調剤した場合
- 輪番で休日に開けた場合(年末年始含む) ※輪番ではなく自主的に開けた場合は算定不可
上記のようになります。
では実際の例を見てみましょう。
【開局時間が平日9時〜19時の薬局の場合】
ケース①
19時に閉局した後、患者さんからの依頼を受けて20時に臨時対応した場合
→ 時間外加算の対象
ケース②
門前医療機関の診療が延長され、それに合わせて20時まで継続して対応した場合
→ 夜間・休日等加算の対象
ケース③
日曜日は通常閉局日だが、休日当番薬局として地域住民向けに開局していた場合
→ 休日加算の対象
ケース④
日曜日を通常の開局日としており、日曜日の12時に調剤を行った場合
→ 夜間・休日等加算の対象
また、算定要件としては以下のことがあげられます。
- 開局時間を当該保険薬局の内側及び外側の分かりやすい場所に表示すること
- 夜間・休日等加算の対象となる日及び受付時間帯を薬局内の分かりやすい場所に表示すること
- 平日又は土曜日に夜間・休日等加算を算定する患者さんについては、処方箋の受付時間を当該患者さんの薬剤服用歴または調剤録に記録しておくこと
時間外等加算の選定療養はどんな場合が対象になる?
選定療養の対象になる可能性がある例
- 昼間に受け取れた処方箋を夜間に持参
- 定期薬を「今から取りに行きたい」
- 翌日でも問題ない薬
選定療養の対象にならない例
- 急性疾患で当日中の服用が必要
- 発熱や感染症治療
- 痛み止めや抗菌薬など緊急性が高いケース
- やむを得ない事情がある場合
などが考えられます。
厚生労働省も、緊急的にやむを得ない事情による時間外調剤については特別料金を徴収しない方針を示しています。
算定時の注意点
- かかりつけ薬剤師包括管理料を算定している患者さんが開局時間外に来局した場合は、包括管理料も時間外加算の基礎額に含めて算定可能。
- 輪番制による当番薬局や、自治体の広報紙・ホームページなどで休日対応薬局として公表されている薬局が該当。そのため、休日であっても薬局が通常の開局時間内に調剤を行った場合は、休日加算や時間外加算の対象にはならず、「夜間・休日等加算」の取り扱いとなる。
- オンライン服薬指導においても、要件を満たす場合には時間外加算を算定できるケースがある。
出典:薬局による外来患者への夜間・休日対応、在宅医療における夜間・休日対応について(厚生労働省)
(https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001211848.pdf)
薬局で準備しておきたいこと
制度が始まると、患者さんから
「なぜ追加料金がかかるの?」
という問い合わせが増える可能性があります。
そのため、
- ホームページでの周知
- 店内掲示
- 時間外対応時の説明文作成
- スタッフ間での判断基準統一
が重要になります。
特に「緊急性」の判断は現場ごとの差が出やすいため、薬局内で事前にルールを決めておくことが望ましいでしょう。
まとめ

2026年6月から、
緊急性のない時間外調剤は選定療養の対象
となりました。改めてどういったときは対象外となるのか、確認します。
- 急性疾患で当日中の服用が必要
- 発熱や感染症治療
- 痛み止めや抗菌薬など緊急性が高いケース
- やむを得ない事情がある場合
患者さんの体調・状況を考慮して、薬局内での判断基準の共有が重要になってきます。
制度開始直後は問い合わせも増えると思われますので、早めに準備を進めておき、薬局内で認識を深めていきたいところです。


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