変更調剤のルール|疑義照会なしで変更できる範囲を整理
処方箋を受け付けたとき、
といった場面で、「疑義照会が必要か」「患者同意だけで変更できるか」に迷うことがあります。
変更調剤の原則は、処方医の同意なく処方内容を変更してはならないことです。
ただし、通知で認められた範囲では、患者へ説明して同意を得ることで、疑義照会なしに変更できます。
まず確認する4点
変更調剤で迷ったら、次の順に確認します。
- 処方箋に「変更不可」の指示がないか
- 効能・効果、用法・用量が変わらないか
- 通知で認められた変更範囲に該当するか
- 患者へ説明し、同意を得られるか
患者同意は必要ですが、同意さえあれば自由に変更できるわけではありません。
疑義照会なしで変更できる範囲
処方箋に変更不可の指示がない場合、主に次の変更が認められています。
- 同一規格・同一剤形の後発医薬品への変更
- 含量規格が異なる後発医薬品への変更
- 類似する別剤形の後発医薬品への変更
「変更不可」がある場合
処方薬の近くに「変更不可」の指示があり、保険医の署名等がある場合は、後発医薬品へ変更できません。
一方で、
と限定して記載されている場合は、禁止されていない範囲での変更は可能です。
含量規格が異なる後発品への変更
たとえば、
10mg 1錠 → 5mg 2錠
への変更は、次の条件を満たせば疑義照会なしで行えます。
- 効能・効果が同一
- 用法・用量が同一
- 変更後の薬剤料が同額以下
- 患者の同意がある
比較するのは薬価ではなく、薬剤料の点数です。
類似する別剤形への変更
内服薬では、通知で定められた同一グループ内で変更できます。
| グループ | 主な剤形 |
|---|---|
| ア | 普通錠、OD錠、カプセル、丸剤 |
| イ | 散剤、顆粒、細粒、末、ドライシロップ |
| ウ | 液剤、シロップ、液剤として使うドライシロップ |
通常時の例は次のとおりです。
類似別剤形への変更でも、効能・効果、用法・用量が同一で、変更後の薬剤料が同額以下であることが必要です。
ひよりチュアブル錠はどうなるん?



どこにも分類されていないから原則としては疑義紹介が必要になるよ。
供給不安時の当面の取扱い
医薬品の供給不安により必要量を確保できない場合は、やむを得ない変更として、通常より柔軟な取扱いが認められています。
後発品から先発品への変更
後発医薬品が銘柄処方されていても、変更不可の指示がなければ、患者へ説明し同意を得たうえで先発医薬品へ変更できる場合があります。
薬剤料が高くなる変更
通常は変更後の薬剤料が同額以下であることが条件ですが、供給不安時は、負担額が増えることを説明して同意を得れば、薬剤料が高くなる変更も認められる場合があります。
錠剤と散剤の変更
通常は認められない区分アと区分イの間でも、やむを得ない場合には変更できることがあります。
- 錠剤・OD錠・カプセルなど
- 散剤・顆粒・細粒など
ただし、液剤のグループへの変更は従来どおり対象外です。
供給不安時の取扱いは、単なる在庫整理ではなく、医薬品を入手できないやむを得ない場合に限る特例です。
薬局に在庫がないだけでも特例を使える?
この特例は、単に自薬局の在庫が切れている場合に、在庫管理上の都合だけで自由に変更できる制度ではありません。
通知では、
が対象とされています。
したがって、通常の発注によって患者が必要とする時期までに問題なく入手できる場合は、原則として供給不安時の特例を利用する場面ではありません。
一方で、出荷停止や限定出荷だけでなく、卸から必要量を確保できない、入荷時期が不明、処方箋の有効期間や服薬継続の関係から入荷を待てないなど、実際に必要量を用意できない状況では、特例の対象となり得ます。
個別の判断に迷う場合は、供給状況や発注状況を記録したうえで、地方厚生局や所属薬剤師会の案内も確認します。



そうなると、発注すれば届くけれど、薬局にないという理由はだめなん?



原則はそういう事になるね。
あくまで入庫が不可能な出荷調製品、販売中止品のことを指すよ。
変更後は医療機関へ情報提供
供給不安時の特例を利用した場合は、変更後の銘柄・規格・剤形などを処方元の医療機関へ情報提供します。
疑義照会ではなく事後報告ですが、医療機関との事前合意がある場合は、その方法や頻度に従います。
疑義照会が必要なケース
次のような場合は、変更調剤として進めず処方医へ確認します。
疑義照会簡素化プロトコルがある場合
医療機関と薬局の間で「疑義照会簡素化プロトコル」が締結されている場合は、通常であれば処方医への確認が必要な変更でも、プロトコルで合意された範囲に限り、
個別の疑義照会を省略できることがあります。
疑義照会簡素化プロトコルとは、頻繁に発生し、あらかじめ対応方法を決められる問い合わせについて、
医療機関と薬局が事前に変更条件や報告方法を取り決めておく仕組みです。
対象となる例には、医療機関ごとの取り決めによって、次のようなものがあります。
ただし、対象範囲は医療機関や地域によって異なります。
他院のプロトコルや一般的な事例を根拠に、合意していない医療機関の処方内容を変更することはできません。
まとめ
変更調剤では、次の順番で判断すると整理しやすくなります。
変更不可の確認
→ 効能・用法用量の確認
→ 変更可能な区分か確認
→ 薬剤料の確認
→ 患者同意
→ 必要な情報提供
供給不安時には、後発品から先発品への変更や、薬剤料が高くなる変更、錠剤と散剤の間の変更が認められる場合もあります。
ただし、あくまでやむを得ない場合の特例です。患者へ薬を届ける柔軟さと、処方意図や安全性を守る慎重さの両方が求められます。
参考資料
- 「処方せんに記載された医薬品の後発医薬品への変更について」平成24年3月5日 保医発0305第12号
- 「現下の医療用医薬品の供給状況における変更調剤の取扱いについて」令和6年3月15日 厚生労働省保険局医療課事務連絡
- 薬剤師法第23条第2項・第24条
- 日本薬剤師会 疑義解釈資料
※通知や事務連絡は改定される可能性があります。実際の運用時は、最新の一次資料や所属薬剤師会の案内をご確認ください。












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