2027年3月から、OTC医薬品との代替性が特に高い医療用医薬品について、薬剤費の一部を患者が追加で支払う仕組みが始まります。
アトピー性皮膚炎に使用する一部のステロイド外用薬も対象品目に含まれますが、
プロアクティブ療法等として通年使用する場合は、追加負担の対象外となる方針が決まりました。
一方、症状が現れたときだけ使用する場合などは、原則として追加負担の対象です。
ただし、「何をもって通年使用と判断するのか」など、実務上の細かな基準はまだ通知待ちです。
本記事では、2026年9月23日時点の厚生労働省資料をもとに、決まった内容と未確定の部分を整理します。
※プロアクティブ療法についてはこちらの記事を参考にしてください。

この記事のポイント
- OTC類似薬の追加負担制度は2027年3月1日開始予定
- 対象薬では、薬剤費の4分の1が「特別の料金」として保険給付外になる
- アトピー性皮膚炎に対するステロイド外用薬でも、通年のプロアクティブ療法等は追加負担の対象外
- 症状が出たときだけ使用する場合は、原則として追加負担の対象
- 医師の処方箋による明確な指示が必要
- 「通年使用」の具体的な確認方法などは、今後の通知やQ&Aを確認する必要がある
OTC類似薬の追加負担とは
新制度では、
これらを条件に、代替性が特に高い医療用医薬品77成分が対象とされています。
対象薬を使用した場合、薬剤費の4分の1が保険給付の対象から外れ、「特別の料金」として患者負担になります。
残りの4分の3には、これまでどおり保険の自己負担割合が適用されます。
たとえば3割負担の患者では、
通年のプロアクティブ療法は追加負担の対象外
プロアクティブ療法とは、急性期の治療で皮疹が改善した後も、
再燃しやすい部位にステロイド外用薬やタクロリムス軟膏などを週2回程度、間欠的に塗布して寛解状態を維持する治療法です。
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024でも、再燃を繰り返す皮疹の寛解維持を目的とした、
計画的・継続的な治療として位置付けられています。
このような治療は、症状がない時期にも医師の管理下で継続する必要があります。
そのため、2026年9月16日の社会保障審議会医療保険部会では、次のケースを追加負担の対象外とすることが大筋で了承されました。
ひよりプロアクティブかどうか見分けんといかんのか…。



処方箋には記載される方向にはなっているみたいだね
どのような場合に追加負担が発生する?


厚生労働省資料では、次のように整理されています。
| ステロイド外用薬の使用方法 | 追加負担 |
|---|---|
| 再燃予防のため、年間を通して定期的に使用する | 対象外 |
| 症状が現れたときだけ使用する | 対象 |
| 数か月など、あらかじめ限られた期間だけ定期的に使用する | 対象 |
| 通年使用に該当するか、医師の判断が確認できない | 今後の通知等による確認が必要 |
ここで重要なのは、単に「週2回塗っているか」だけで決まるわけではないことです。
同じ薬を同じ頻度で使用していても、医師が「再燃予防のために年間を通して継続する治療」と判断しているかどうかで、制度上の扱いが変わります。
「期間限定のプロアクティブ療法」は判断しにくい
厚生労働省資料では、追加負担の対象となる例として、次の2つが示されています。
- プロアクティブ療法として一定期間、例えば6か月間、間欠的に使用した後に中止した場合
- 症状が出現した場合にのみ使用するリアクティブ療法の場合
したがって、実際には処方時点における医師の治療計画をもとに、通年継続が必要かどうかを判断する運用になると考えられます。
ただし、これは現段階での解釈であり、正式な判断基準は今後公表される通知やQ&Aの確認が必要です。



残薬で受診が遅くなっているのか、そういうのも気を付けないとあかんな…。



お医者さんからもリアクティブかプロアクティブなのか明確な指示がないとちょっと不安になるね…。
リアクティブ療法なら必ず対象になる?
リアクティブ療法とは、皮疹が悪化したときにステロイド外用薬を使用し、改善後は中止する治療方法です。
対象品目に含まれるステロイド外用薬を、症状出現時だけ使用する場合は、原則として追加負担の対象になります。
ただし、患者が次のような別の除外条件に該当する場合は、リアクティブ療法であっても追加負担の対象外になる可能性があります。
- 入院中または退院時の処方
- がんやその治療に関連する症状への使用
- 指定難病や国の公費負担医療に関連する使用
- 対象薬の効能・効果がOTC医薬品と実質的に対応していない場合
したがって、「リアクティブ療法=すべて追加負担」と一律に考えるのではなく、薬剤、疾患、患者背景を含めて確認する必要があります。
対象となる主なステロイド外用薬
2026年8月時点の対象品目案には、次のようなステロイド外用薬が含まれています。
| 成分 | 主な製品例 |
|---|---|
| ヒドロコルチゾン酪酸エステル | ロコイド軟膏・クリーム |
| プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル | リドメックスコーワ、スピラゾン |
| ベタメタゾン吉草酸エステル | リンデロン-V、ベトネベート |
| デキサメタゾン | オイラゾン、一部のデキサメタゾン外用剤 |
| ベタメタゾン吉草酸エステル・フラジオマイシン硫酸塩 | ベトネベートN |
対象となるかどうかは、成分名だけでなく個別品目と使用目的によっても異なります。実際の運用では、施行時点の対象品目リストを確認する必要があります。
タクロリムス軟膏などはどうなる?
タクロリムス、デルゴシチニブ、ジファミラストなどは、現時点のOTC類似薬77成分に含まれていません。
そのため、これらの薬はプロアクティブ療法かリアクティブ療法かにかかわらず、今回の追加負担制度の対象外です。
これは「プロアクティブ療法だから免除される」のではなく、薬そのものがOTC類似薬の対象品目ではないためです。
薬局が治療方法を独自に判定するわけではない
追加負担の対象かどうかは、医師が一義的に判断します。
- 追加負担の対象:○
- 追加負担の対象外:-
薬局が処方量や患者への聞き取りだけで、プロアクティブ療法かリアクティブ療法かを医学的に判断することは想定されていません。
処方箋の記載と患者への説明内容が一致しない場合など、疑義があるときは処方医へ照会することになります。
これは確定した制度?
OTC類似薬の追加負担制度は、健康保険法等の改正を経て、2027年3月1日から開始する予定です。
また、アトピー性皮膚炎に対する通年のプロアクティブ療法等を追加負担の対象外とする内容も、2026年9月16日の社会保障審議会医療保険部会で大筋了承されています。
したがって、「対象外とするかどうかをこれから議論する」という段階ではありません。
一方、次のような実務上の詳細はまだ通知待ちです。
厚生労働省は、全国共通のQ&A、チェックシート、患者説明資料などを整備する方針を示しています。
まとめ
アトピー性皮膚炎に対するステロイド外用薬は、すべて一律に追加負担となるわけではありません。
再燃予防を目的として、プロアクティブ療法等として年間を通じて定期的に使用する場合は、追加負担の対象外となります。
一方、症状が出たときだけ使用する場合や、あらかじめ限られた期間だけ使用する場合は、原則として追加負担の対象です。
ただし、制度上の分かれ目は「プロアクティブ」「リアクティブ」という名称だけではありません。
医師が通年での継続使用を必要と判断しているか、処方箋にどのように示されているかが重要です。
対象外とする大きな方針は決まりましたが、具体的な線引きには未確定な部分が残っています。
薬局では今後示される通知やQ&Aを確認し、処方箋の記載に疑義がある場合は処方医へ確認できる体制を整えておく必要があります。
参考資料
- 厚生労働省.第216回社会保障審議会医療保険部会 資料1「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施について」.2026年9月16日.
- 厚生労働省.OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた中間とりまとめ.
- 厚生労働省.対象医薬品の個別品目一覧(2026年8月時点).
- 日本皮膚科学会・日本アレルギー学会.アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024.










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