在宅患者緊急時等共同指導料とは?算定要件と注意点をわかりやすく解説

在宅療養中の患者さんに病状の変化が生じた場合、医師や訪問看護師、ケアマネジャーなどが集まり、今後の治療方針について話し合うことがあります。

このカンファレンスに薬剤師が参加し、
その結果を踏まえて患家で薬学的管理指導を行った場合に算定できるのが

「在宅患者緊急時等共同指導料」です。

薬剤師による単独の緊急訪問ではなく、急変時などにおける多職種連携を評価した点数と考えると分かりやすいでしょう。

※本記事は、令和8年度(2026年度)調剤報酬に基づいて作成しています。

目次

在宅患者緊急時等共同指導料の概要

項目内容
点数700点
算定上限月2回まで
対象患者訪問薬剤管理指導を実施している、通院困難な在宅療養患者
対象となる場面病状の変化や診療方針の大幅な変更などが生じた場合
必要な依頼在宅療養を担う医師、または連携する医師からの求め
必要な対応多職種カンファレンスへの参加と、患家での薬学的管理指導

算定には、単にカンファレンスへ参加するだけでなく、その内容を踏まえて薬剤師が患家を訪問し、必要な薬学的管理指導を行う必要があります。

算定までの流れ

実際の対応は、次のような流れになります。

  1. 患者の病状や治療方針に大きな変化が生じる
  2. 医師から薬剤師へ共同指導の要請がある
  3. 薬剤師が医師や訪問看護師などとのカンファレンスに参加する
  4. カンファレンスで共有した情報を踏まえて患家を訪問する
  5. 服薬状況や副作用などを確認し、必要な薬学的管理指導を行う
  6. 訪問結果を医師へ報告する

カンファレンスと訪問指導は、必ずしも同じ日に行う必要はありません。ただし、別の日に訪問する場合は、カンファレンス後速やかに実施します。

カンファレンスに参加する職種

カンファレンスでは、薬剤師が次のような医療・介護職と患者の状態や治療方針を共有します。

  • 医師
  • 歯科医師
  • 訪問看護ステーションの保健師・助産師・看護師
  • 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
  • 介護支援専門員
  • 相談支援専門員

医師からの要請を受けず、薬剤師の判断だけで訪問や打ち合わせを行った場合は、本指導料の対象にはなりません。

ひより

緊急でよかれと思って勝手に動いてはダメなんやな

Yuki

緊急とは書いてあるけれど、後ろに「共同」と書いてあるからね。
単独は共同ではないし、他の専門の意見がないと誤りや確認不足が起こるからね。

オンラインでの参加は可能?

薬剤師は、ビデオ通話を利用してカンファレンスへ参加できます。

ただし、オンラインで参加できるのはカンファレンスです。カンファレンス後の薬学的管理指導については、薬剤師が患家を訪問して行わなければなりません。

また、薬剤師がオンラインで参加する場合は、患者の診療などを行う医療関係職種のうち、少なくとも1名が患家でカンファレンスを行っている必要があります。

画面上で患者の個人情報を共有するときは、患者の同意や情報セキュリティにも注意しましょう。

薬歴に記載する内容

算定時は、薬剤服用歴等に次の事項を記載します。

・カンファレンスと薬学的管理指導の実施日
・指導を行った薬剤師の氏名
・カンファレンスに参加した職種と氏名
・医師から要請を受けた旨と、その理由
・カンファレンスの要点
・服薬状況、副作用、相互作用などの確認結果
・カンファレンスを踏まえて行った薬学的管理指導
・医師へ報告した内容の要点

薬歴には、カンファレンスを行った事実だけでなく、話し合った内容が実際の薬学的管理指導にどのように反映されたかを残しておくことが重要です。

併算定できない点数

在宅患者緊急時等共同指導料を算定した場合、同一の対応について次の点数は別に算定できません。

  • 在宅患者訪問薬剤管理指導料
  • 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料

また、患家を訪問せず、情報通信機器のみで薬学的管理指導を行った場合は、本指導料ではなく服薬管理指導料「4のハ」の対象となります。

令和8年度に新設された「訪問薬剤管理医師同時指導料」についても、本指導料に係る指導等を同日に行った場合は算定できません。

連携医から依頼された場合

患者の主治医ではなく、主治医と連携する別の医師から依頼を受けることもあります。

この場合は、依頼した医師に加えて、患者の在宅療養を担う医師にも訪問結果を文書で情報提供します。

また、連携医の氏名と医療機関名を確認し、薬学的管理指導計画書などに記載しておく必要があります。

在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料との違い

混同しやすい2つの点数ですが、違いは「多職種カンファレンスの有無」です。

在宅患者緊急時等共同指導料在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
主な評価多職種による共同対応薬剤師による緊急訪問
カンファレンス必要必須ではない
患家への訪問必要必要
点数700点500点または200点
算定上限月2回原則月4回

医師から依頼を受けて薬剤師が単独で緊急訪問した場合は、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を検討します。

一方、急変や治療方針の変更に対して多職種でカンファレンスを行い、その結果に基づいて訪問指導を行った場合は、在宅患者緊急時等共同指導料の対象となります。

算定できる主な加算

要件を満たした場合は、次の加算を算定できます。

加算点数
麻薬管理指導加算100点
在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算250点
乳幼児加算100点
小児特定加算450点
在宅中心静脈栄養法加算150点

麻薬管理指導加算と在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算、乳幼児加算と小児特定加算は、それぞれ併算定できません。

算定上の注意点

次の点にも注意が必要です。

  • 特別調剤基本料Bを算定している薬局では算定できない
  • 薬局と患家の距離が16kmを超える場合は、特殊な事情がなければ算定できない
  • 共同指導に必要な交通費は患家の負担となる
  • カンファレンス1回と、それに基づく薬学的管理指導1回につき1回算定する

16kmを超える訪問については、患家から16km以内に訪問薬剤管理指導を行う薬局が存在しないなど、やむを得ない事情が必要です。患者や家族が遠方の薬局を希望しただけでは、原則として認められません。

まとめ

在宅患者緊急時等共同指導料は、在宅患者の病状変化や治療方針の変更に対して、薬剤師が多職種と連携して対応したことを評価する点数です。

算定を判断するときは、

「医師からの要請があるか」
「多職種カンファレンスを行ったか」
「その結果を踏まえて患家で指導したか」

の3点を確認するとよいでしょう。

参考資料

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この記事を書いた人

Yukiのアバター Yuki 管理薬剤師

調剤薬局で15年、管理薬剤師として13年勤務。
現在は学校薬剤師として小学校・中学校にも関わりながら、薬剤師向けサイト「PharmaNote」を運営しています。

薬剤師としての現場経験と、テレビ・アニメ作編曲家としての表現の経験を活かし、やさしく親しみやすい情報発信を心がけています。

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